
≪内容≫
いじめられっ子のリン・シューウェイは、いじめっ子3人とともに、教師から独居老人の手伝いをする奉仕活動を命じられ、そこで2匹のモンスターに遭遇する。彼らは小さい方のモンスターを捕まえて、独自の「調査」と「実験」を始めるが、やがてモンスターは彼らの手に負えなくなっていく。そして、それは恐怖の始まりだった……。本当に恐ろしく、怖いものとは一体…。
なんか誰に薦めていいか分からない映画です。いや、面白いんですけど・・・いじめのシーンがえぐすぎて・・・。怪物が気になって見たのに・・・ていうかタイトルでめっちゃ怪物押すから見たのに、いじめシーンが強烈すぎた。wikiにホラーコメディって書いてあるけど、コメディ演出は分かっても笑えないくらい影強すぎる。トラウマがあったり共感性羞恥心系の他人のことを自分のことのように感じられる人は要注意かもしれないです。
地獄に生まれ、別の世界を望むなら
優等生のリン・シューウェイは、いじめっ子集団の標的とされ窃盗の容疑をかけられる。いじめっ子のボス(以下ボスと表記)が積極的にいじめれば、それはクラス全体のいじめへと発展していく。担任は目の前で起きているリンへの暴力も見て見ぬふり。「先生にはしないで」とさえ言ってのける。孤立無援のリンは無実を先生に訴え、いじめっ子たちの言動を録音し聴かせるが証拠不十分として却下される。そして証拠獲得のためにいじめっ子たちとボランティアに行くよう命じるのだった。
※ちなみにこの映画、高校生たちの自宅は一切映らないため学校という異常閉鎖空間がより一層引き立っている。
ボランティア先で出会った怪物を拉致監禁したいじめっ子たち。リンは共犯者として彼らと過ごすうちにクラスの全員からいじめられることはなくなった。しかしいじめっ子たちからの扱いは下僕だった。ただいじめの対象がリンから怪物に変わっただけだったのだ。
しかし怪物には片割れがいて、片割れは必死に怪物を探していた。ボスが担任に怪物の血を飲ませ怪物化させた映像を見た片割れは学校の生徒の誰かが怪物の行方を知っていると見込んで、生徒達を襲う。
このバス血だらけシーンは韓国映画「新感染」を彷彿させる。
さらにこのヘッドフォンの少女(ボスの彼女)が聞いている音楽、どこかで聞いたことがあるなぁ~と思ったらYEN TOWN BANDの「My Way」。
惨殺シーンのBGMにするとはびっくりだが、そのおかげでなんだかものすごく切ないラストへと向かう。
YEN TOWN BANDの「My Way」はこちらの映画↓
彼女を怪物に殺されたボスは、二体の怪物を焼き殺そうと復讐に燃える。しかし怪物がいなくなればいじめの標的が逆戻りするのは必然だった。リンは自分もいじめられたくない気持ちから怪物いじめに参加していた。しかし心では憐れんでいたため「自分はやつらとは違う。君を助ける」と怪物に語っていた。
ボスの復讐作戦にリンは別の作戦を仕込む・・・。
とまぁ、こんな感じなんですがここからネタバレします!
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リンは作戦の裏をかき、いじめっ子たちを片割れに殺させ、鎖に繋がれた怪物と鎖を取り外そうとする片割れもろとも日光で焼き殺した。
しかし、ボスがいなくなってもリンは一人ぼっちだった。一人でご飯を食べ、しかも目の前で屁をこかれる。(ここら辺がコメディなのかもしれないが笑えない)
地獄の鬼を退治しても世界は変わらない。リンは、給食に怪物の血液を混入しクラスメイトを怪物化させ焼き殺す。しかし、自分もまた給食を平らげ死ぬのだった。
リンはなぜ自分も給食を食べたのか?
これは、自分も被害者でありながら加害者だったからではないのかな、と思います。僕は違うと言いながらいじめられ続ける怪物を放っておいて、助けるといって殺した。
この世に善人はいない
みんな悪人だ
あとは お前みたいなバカ
と言ったのはリンなのですが、善人でいたかったリンはバカではなく悪人となった。そうなるとリンが生まれた世界ではリンのいる場所がなかったのではないでしょうか。
なぜならここは地獄で、悪人が生きる場所だから。そして悪人は自分が悪人であるとは思わない。日本人が日本で生きていて「日本人!」と思わないのと同じである。
永遠によそ者であることを感じたリン・・・と思うと本当に救いのないお話だなぁと思います。
怪物は実は姉妹で元々は人間だった。異形の生物となっても姉妹愛は続き、二人で仲良く暮らしていた・・・そんなことを思うと、人間が一番の怪物である。というのは、屍鬼でも描かれている。
エンディング曲で「毎日毎日天誅を待ち続けてる」って字幕があって、ほんと人間の姿をした悪魔みたいなヤツは人外に頼むしかないよなと思いました。