≪内容≫
ブラック企業で働く青山隆(工藤阿須加)は、仕事のノルマが厳しく精神的に追い詰められていた。
疲労のあまり駅のホームで意識を失い、危うく電車に跳ねられそうになってしまう。すんでのところで青山を救ったのは、幼馴染みのヤマモト(福士蒼汰)と名乗る男。だが、青山には彼の記憶がまったく無かった―
大阪弁でいつでも爽やかな笑顔をみせる謎の男、ヤマモトと出会ってからというもの、青山は本来の明るさを取り戻し、仕事の成績も次第に上がってゆく。そんなある日、青山がヤマモトについて調べると、何と3年前に自殺していたことが分かる。それではヤマモトと名乗る、あの男は一体何者なのか?
新年早々あれですが、人生って理不尽ですよね。頼んでもないのに生まれてきたから死ぬことに脅えて、少しでも長く生きようとしたら働かなきゃいけなくて、そんな中でやりがいとか好きなこととか好きな人とかそういうものに出会える人は「人生そんな悪いもんじゃない」なんて言えるかもしれないけどさ、そんなん何一つなかったらただ死ぬ恐怖に脅えて働くだけだよ。じゃあ死ねばいいって?もしそんなことを思うなら、君は少し疲れているんだ。まだ一つも希望がなくても死にたくないか、死ぬ勇気がないかで迷っている人間にそんな言葉は吐いてはいけないんだ。その一言が誰かを殺すかもしれないんだです。
死んだら終わり
唯一とれた内定企業はブラックだった。社員たちは毎月毎月ノルマに追われ、上司のどなり声に脅えていた。そんな会社で生きる屍の如く働く青山隆は、生きる意味を失い電車に飛び込み自殺するところだった。
そんな青山の手を引いて飲みに誘ったのはかつて同級生だったという山本だった。とにかく明るい山本は暗い青山に明るいネクタイを選んだり、営業の秘訣を教えたりとかいがいしく世話を焼いた。
青山は山本の言うことも一理あると素直に実行し、やっと大きな案件を取れたが、発注ミスが起こり以前よりももっと肩身の狭い思いをすることとなった。
意気消沈する青山だったが、山本の過去を調べていく内に山本もパワハラで自殺していたことをネットニュースで知る。自分の自死をふせぐべく霊となってやってきてくれた山本に感謝しつつ、死んであの世でまた会えばいいじゃないかと思った青山は今度こそ自殺を決意し会社のビルの端に立った。
だが、死んだはずの山本は霊であることははぐらかし、死ぬ前に家族に会うように告げる。青山は父親にひどい言葉を投げかけた過去から実家に帰ることも会社をやめたいということも言えずにいた。
しかし山本の言葉によって青山は自分で両親の思いを確かめにいくのだった。
なにがいいって青山くんが素直なところがいいですね。人に言われたら素直にやってみる。それができたから青山くんは自分の命を自分で守れた。
でもさ、色んな人間に踏みにじられたり怒鳴られたり陰謀めいたことされたらさ信じられなくなっちゃいますよね。傷ついた人間に素直になれとかいうのはけっこう難しいのだ。だって、元から素直じゃないなら自死しようと思うほど自分を追い詰めないと思うから・・・。
この映画、なんかすごくよかったんですよね。パッケージとアロハシャツの山本からは想像できないくらい切ないBGMと筋書きだからかな。
みんな色んなことあるよね。職場でいじめられたり学校ではぶかれたりすることもあるかもしれない。家族間で亀裂があったり友人関係で問題があったり恋人と一悶着あるかもしれない。
でも世界はとっても広いから、そこで希望が見えなくなったら別の場所にある希望を探しに行けばいいんだ。
みんな頑張ってる。みんな生きてる。