
≪内容≫
戦争によって引き裂かれ別々の道を歩んでいったひと組の男女の愛をC・ドヌーヴ主演で描いた傑作ミュージカル映画。傘屋の少女・ジェヌヴィエーヴは自動車修理工のギイとささやかだが美しい恋を育んでいた。しかし、ギイの下へ徴集礼状が届き…。
このパッケージすごいおしゃれですよね。内容がなんであれ「見たい!」という気を起こさせる。そして期待以上にオシャレの連続!恋愛映画ですが、街並みや小道具、衣装が何よりかわいくって美しい!
若い恋愛の終りは「なごり雪」を思い出します・・・。
恋は死に,愛は生きる
17歳の少女・ジェヌヴィエーヴはシェルブールの雨傘店を営む母親の手伝いをして暮らしていた。一方、恋人のギイは20歳で自動車修理工として働きながら病弱な叔母と一緒に暮らしている。
二人は互いに惹かれあい、結婚や子供の話までして幸せな日々を過ごしていたが、ジェヌヴィエーヴの母親は若すぎる娘の結婚に大反対し、ジェヌヴィエーヴは板挟みの生活を送っていた。
そんなあるとき、ギイにアルジェリア戦争への徴収令状が届く。若く、不安定なジェヌヴィエーヴは二年も離れ離れになることに耐えきれない、行かないで、と懇願するが、ギイは二年後にまた会おうといい戦地へと向かってしまう。
ギイが旅立ってから妊娠に気付いたジェヌヴィエーヴは体調の変化や目に見えるスタイルの変化にも不安を募らた。更にはギイからの便りも不定期かつ悲観的な内容で、ジェヌヴィエーヴのギイへの「彼はほんとうに帰って来るのだろうか?」という不安は妊婦の彼女を更に追い詰めた。
そんな彼女を支えたのは結婚に反対していた母親であった。自分の大きくなったお腹を醜いと感じても、母が美しいと言えば美しく感じた。
ギイとの結婚に反対する母親を疎ましく思っていたジェヌヴィエーヴだったが、次第に母親のすすめもあり、ジェヌヴィエーヴはギイの帰りを待たずに宝石商のカサールと結婚、パリへと移住してしまうのだった。
一方、帰ってきたギイはジェヌヴィエーヴの営んでいた雨傘店がなくなり、彼女も結婚したということを知り荒れた生活を送ったが、幼馴染のマドレーヌと結婚し家庭を持ったことで安定し始めた。
時がたち、お互い別々の人と結婚した二人が出会う。
このとき、二人の結婚に反対していたジェヌヴィエーヴの母親は亡くなっていたが、もう二人の間には何も残っていなかった。
ジェヌヴィエーヴはギイに幸せかと問い、その答えには返事をせずに去っていった。
彼のためなら死んでもいいと思った私なのに
どうして死んでしまわなかったのかしら
タイトル「シェルブールの雨傘」は、単にシェルブールの雨傘店の娘の恋、というわけではなく、ジェヌヴィエーヴにとってのシェルブールの雨傘は母親で、パリの雨傘はカサールだったんでしょう。
ではギイは?となると、ギイは傘が必要な日(苦難)には出会わない人を意味しているのだと思います。
雨が降ろうが雪が降ろうが、ギイは傘をささない。その手は傘を持つためではなく彼女を抱きしめるためにあったから。
しかし、そのぬくもりの恩恵はいっときで、濡れてしまえば風邪を引いたり服が傷んだり、相手の未来を思えば傘をさすことが守ることになるのだ。
お互いのぬくもりだけでは生きられない。だけど、甘い恋の記憶は永遠に二人のハイライトとして生き続ける。たとえ一緒に生きられなくても・・・。ほんとうに、恋を終わらせたくなかったらジェヌヴィエーヴは文字通り、死ぬしかなかったのだと思います。恋愛って切ないですね。