《内容》
キャリアウーマン・川原由加利は、研究医で面倒見の良い恋人・小出桔平と同棲5年目を迎えていた。ある日、桔平がくも膜下出血で倒れたことで、彼の所持していた運転免許証、医師免許証は、すべて偽造されたもので、職業はおろか名前すらも「嘘」という事実が判明した。なぜ桔平は全てを偽り、由加利を騙さなければならなかったのか。そして、彼女はいまだ病院で眠り続ける「名もなき男」の正体に、辿り着くことができるのか―。
これ、うちの父がそうなんだけど、あんまり強い人って悪気なく正義とか常識振りかざすんですよね。別に父が恵まれているとか、努力してないとか言わないんですが、打たれ強いにプラスしてほぼほぼ病気とかしないので、たぶんわからないんですよね。そういうときに受ける肉体的ダメージとか精神的ダメージとか。
でも、人って強くない。
そのことをまず知るところから、自分の人生も変わり始める。
これはそういうお話だと思う。
人は強く儚いもの
同棲5年目、そろそろ結婚も考えて親に紹介・・・そんなとき相手が倒れて、しかも相手のすべてが嘘だったことを知ったらあなたはどうしますか?
主人公の由加利(長澤まさみ)は、バリバリのキャリアウーマン。上昇志向が強くて、けっこうキツイ性格。そんな由加利の彼氏はのんびりとした穏やかな青年・桔平。二人の人生は何もかもうまくいっていると思っていた。
桔平が倒れるまでは。
桔平が倒れたことで、由加利は彼のすべてが嘘であること、そして5年も一緒にいながら彼のことを知らない自分に愕然とする。さらに桔平とネットで知り合ったという女の子が告げる真実にも衝撃を受けいら立ちを募らせる。
探偵と一緒に桔平の過去を探す中で、由加利は仕事もボロボロ、探偵からのダメ出しで心もズタズタになっていく…。
ヒントは桔平がこっそり書いていたという小説だった。その中に書かれている子供とは、彼女とは誰なのか?
彼の宝物、彼の過去、どこまでが創作でどこまでが真実なのか、果たして自分と一緒に居た時間、桔平が愛していたのは誰だったのか?
目的は何だったのか?
きっちゃん
あたしね 浮気したことある
前に微妙にぎこちなかったときあったでしょ
そのときに
なんか不安で
きっちゃんとちゃんと話せばよかったよね
あたしも嘘ついてた
嘘や隠し事なく生きていける人間なんているのだろうか。
嘘をついているから愛していないとか、隠し事はすべてやましいことだとか、そんな単純に割り切れないから人間は滑稽で美しいのでは?と思ったりする今日この頃。
人は弱いものよ とても弱いものよ