《内容》
深夜、とあるマンション内のエレベーターホールで血だらけの女(紗希)が座り込んでいる。煙草を吸いながらスマホで誰かに電話している。その横には、意識朦朧とした血まみれの男(翔)が倒れている。その光景にカメラを向ける住人ら、慌ただしく無線を飛ばす警官たち。取調室、二人の刑事と虚ろな目をした紗希がいる。柔和で悲しげな表情を浮かべながら、翔との関係を話し出す。ふたりの出会いは2年前にさかのぼる。映画製作のスタッフで下働きをしていた紗希は、撮影現場で俳優の翔に出会う。連絡先を交換し、ほどなくしてふたりは、体の関係を持つまでになる。紗希は翔を愛し、借金を重ね、番組の製作費を盗んでまで翔に身も心も捧げていた。だが、そんな翔に「もう一人の女」の影が…事件に至るまでの全貌が明らかになるとき、女たちの狂った「純愛のかたち」を知ることになる…
新宿ホスト殺害未遂事件を題材にした映画ですね。 34分の超ショートムービーでありながら非常に濃厚。日常のどこかではありそうだけど、実際にこういう恋愛をしたことは少ないのではないかなぁと思う。
ほんと愛ってなんだ。
あたしはあなたの名前も知らない
実際の事件とは違う設定ですが、では実際にどこまでが真実でどこからが映画なのかわからないのがより奇妙さも生み出している気がする。
映画の中の女性・紗希は仕事場で出会った売れない役者の翔と恋人になる。監督とぶつかり「めんどくせえやつ」と言われてキレる翔を見て、彼のことをわかってあげられるのは自分だけ、と思うようになる。
そこからは、テンプレともいうべき道を辿る。
「紗希ちゃんとデートするための車が欲しい」とか「紗希ちゃんに彼氏のジャケット着てほしいからあのジャケット欲しい、彼氏の服着る子とかかわいくない?」と第三者からすれば「テンプレでヤバイやつ」と思うような言葉に紗希はうんうんと借金をして、会社のお金を盗んで応え続ける。
体の関係をすぐに求めなかったことが、紗希の心に響いたのですが、実は翔は偽名だったし結婚もして奥さんは妊娠中でした。
本名を知りたいと言った紗希をはぐらかした翔でしたが、紗希とのラインを見ていた奥さんが翔の体に本名を書いておいたのだ。かわいらしいイラスト付きで。
私の恋愛論だけど、だれかを欲しいと思うとき、きっとそれは純粋な愛情じゃない。何かを手に入れたいと思うときと同じように欲望がそこにはあって、相手のためという言葉は相手のためにしてあげれる自分になるための言葉なんだ。
でもだから愛じゃないってことじゃない。人間の愛は欲望あってこそだと思うから。
好きな男の本名も知らなくて、自分の家に入り浸りで、借金してまで貢いで、お金がなくなったらデリヘル紹介されて…そういうなんか愛じゃないなって思う展開になるってわかってても、実際にそうならなきゃ、そうなった人じゃないとわからない心があるんだろうなぁって思ってみてました。
この監督さん、「岬の兄弟」の監督さんでもあったのですが、どちらも女優さんすごく素敵だなぁと思いました。表情が素敵で、平凡に見えてすごくかわいらしく映るんですよ。子供みたいなかわいらしさ。
そういうのを見ると、大人ってただ時間重ねただけで、ただの少年少女なんだって思うくらい、表情が好きだなぁって思ってみてました。
パッケージ韓国映画かと思いました。