《内容》
本作は、2000年代初頭、絶対味覚=“麒麟の舌”を持ちながらも料理への情熱を失ってしまった佐々木充が、「消えたレシピ」の解明に挑むミステリアスな展開と、太平洋戦争直前の1930年代を舞台に、レシピ作成に人生を捧げた、もう一人の麒麟の舌を持つ料理人・山形直太朗と、彼の信念を支え続けた人々の運命を描く、二つの時代が平行して語られる。ラストレシピ―それは失われた70年をつなぐ、壮大な愛のメッセージ。
優秀なシェフが技術にこだわるあまり孤独になるのは、この映画もそうなんですが
どっちも料理シーンがすてきなんですよねぇ。。こういうの見るたびに料理しようと思うのに寝たら忘れているのであった。
近くにある幸せに気付いて
絶対味覚という味を完璧に再現するほどの力は、今も昔もその持ち主を幸せには導かなかった。
主人公・佐々木充は両親を事故でなくし施設で育った。自分の腕一本で生きていかなければならない充にとって料理は生きる術であったし、実際に絶対味覚という才能ももっていた。
だが、その力ゆえに完璧を求め自らの店をつぶし多額の借金を背負うこととなった。借金返済のため、自分を育ててくれた施設の園長のお葬式にも出ず、高額な仕事をこなす充に友達の健は苦言を呈すが、充は金しか信じていなかった。
そんな充に高額な依頼がやってきた。
中国からの依頼で、満州国時代、日本人が作成した伝説のフルコース「大日本帝国食菜全席」の再現依頼であった。
充は大昔の味を再現すべく関係者たちに会いに行き話を聞いて回った。そこには日本の歴史と充自身の過去があった。
孤児で独りぼっちだと思っていた充がたどり着いたのは、アルバムというべきレシピだった。
満州国時代の話はサスペンスというか、かなりドラマチックで涙するんですが、今この時代に生きてる充の話では、何より健(綾野剛)がいてよかったね、という感じ。
きっと、このまま「思い出の味再現」という高額なバイトで借金返済はできたでしょうし、生きてくこともできたでしょう。でも、充の心は凍ったままだし店への情熱も冷め切ったまま。。生きているのに生気がないような、そんな状況だったのではないでしょうか。
親に捨てられ、才能の塊である友の隣にいて、しかもその友達は実はたくさんの人に愛されていたなんて内心複雑な心でもおかしくないのに、「俺、なんにもできなくて…」と隣で自分の代わりに涙を流すやさしい友人。
才能って技術にあてる言葉なのかもしれないけど、健のやさしさを見てると、やさしさって一つの才能じゃね?と思うほど。
今回の充はブラックペアンの渡海と結構似てると思うんですが、怒鳴ったり熱血な役よりこういうスレた役が似合うなぁ、と思いました。
持つべきものは友達だな、ほんと。