《内容》
わずか12歳で「僕を産んだ罪」で両親を訴え裁判を起こしたゼイン。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったため、自分の誕生日も知らず、法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく朝から晩まで両親に劣悪な労働を強いられていた。支えだった11歳の妹が強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、さらに過酷な“現実”だった。果たしてゼインの未来は―?
実話ではないみたいですが、リアルに近い形で撮影したみたいですね。そのせいなのかはわかりませんが、不自然さがどこにもない不思議な映画でした。
一番優しい言葉は’出ていけクソガキ’
両親を訴えたい
大人たちに聞いてほしい
世話できないなら産むな
僕の思い出は
けなされたことや
ホースやベルトで叩かれたたことだけ
一番優しい言葉は
出ていけクソガキ
主人公・ゼインの一家は貧困家庭で、多くの兄弟とともにジュースを露店で売り暮らしていた。学校に行くこともなく、下の子の面倒を見ていたが、ある日妹に生理が始まったことを知り、必死に隠そうとする。
それは、女子に生理が始まれば強制的に嫁がされるとわかっていたからだった。
一方、妹はそのことがどれほど辛いことなのか、どこまで現実味を帯びているのかはわかっていないようだった。
血が付いたショーツを洗うゼインを不思議な目で見ていた妹は、強制的に父のスクーターに載せられ家主の元へ連れていかれた。
ゼインの抵抗も、妹の「ここにいたい」という願いも、両親には届かなかったのだ。
ひどい暮らしだよ
何の価値もない
僕は地獄で生きている
丸焼きチキンみたいだ
最低の人生だ
妹の結婚を機に家を出たゼインは違法難民の女性と出会う。そこで女性の赤子の子守をするのだが、女性は違法滞在の罪で捕まり突然帰ってこなくなってしまう。実はこの女性は、自分の赤子と引き換えにパスポートの偽造代を安くするという悪徳商法により捕まってしまったのだった。
なんとしても赤子を渡したくないと思ってる矢先に捕まってしまったため、ゼインは何も知らずに売人に涙をこぼしながら赤子を預けてしまう。
それしか生きる術がなかったのだ。
家に帰ったゼインは、妹が死んだことを知る。
そして悲しみながらも新しい命が生まれる、と告げる母親に怒りを沸騰させる。
どうせその子も妹のように殺すのだろう?と。
育てられるほどの金がないからと口減らしと家賃のために妹を切り捨てておいて新たな命などど言ってるのか。
みんなに好かれて尊敬されるような
立派な人になりたかった
でも神様の望みは
僕らがボロ雑巾でいること
人一倍優しく正義感も強かったのだろう。
妹と逃亡するための準備もしてきたし、赤子を守るためヤク入りのジュースを作ってヤバイやつらに売って稼いでもいた。
だけど、それでも二人とも救えなかったのだ。
日常だけを見て生きていると、仕事とか家族とか、そういう小さな世界の中で自分を評価してしまうんだけど、映画を見るとハっとさせられる。
自分の世界がなんて狭いんだろう、ということに。
でも神様の望みは、僕らがボロ雑巾でいること・・・