《内容》
特別な力を持つダニーと少女アブラは、謎多き連続事件を介して邪悪な力を持つ集団のもとへと導かれていく。彼らが行きつく場所は、呪われたホテル。時空をも超える、命を懸けた最終決戦が今、始まる…。『IT/イット』スティーブン・キングが仕掛ける最恐バトルエンターテイメント。PG12
名作「シャイニング」の子どもダニーが大人になった物語ですね。
ダニーのもつ特別な能力’シャイニング’は、とある集団にとって妙薬だった。シャイニングをもつのは多くが子供で、その輝きは大人になるにつれ失われるし、多くの子どもはとある集団に早々に喰い尽くされてしまうものだった。
そのとある集団との対決。かつて逃げ出したあの忌まわしきホテルとの再会。それが本作の見所です。
浄化の炎と受け継がれる光
前作・シャイニングで出会った237号室の亡霊は、ホテルを去った後もダニーの憑いてきていた。目的は一つ。ダニーのシャイニングの力だった。
小さいダニーはこの特別な力がよくないものを惹きつけると気付き、その能力をひた隠しにして生きてきた。そして大人になったダニーは父親のアルコール中毒と短気を受け継いでいた。
父を恐れながらも愛していたダニーは父がやりたくてもできなかったことをしようと、アルコールを断つことを決意する。そしてホスピスで働くようになり、何もかもうまくいってると感じた矢先、誰かが呼ぶ声に気づくのだった。
少女・アブラも’シャイニング’の持ち主だった。それもとても強力な力。彼女の脳裏に突然とある集団に拉致され命を落とす少年の姿が映る。
少年の恐怖と断末魔の叫びは、アブラの感覚に直接コミットし、アブラは恐怖で涙をこぼす。しかし、少年を助けたいという正義感にかられたアブラは、ダニーに助けを求めた。心の中で。
アブラからの問いかけに気づいたダニーは直接会うことにするが、そこでアブラの言うように集団と戦うことは危険だ、やめた方がいいと説得する。
この力を隠すのだ、そう告げるダニーにアブラは失望の顔を隠さなかったが、ダニーは経験から奴らに勝つのがどれだけ大変なことが分かっていたのだ。
あの子はお前を見つけた
お前と私はどうなった?
お前が現れて今もお前の師でいる
あの子の頼みを聞いてやれ
それで私とお別れた
これが私の最後の夢
立派に育ったように見えるが
まだ借りがある
それを返せ
職場に戻ったダニーは死期を悟る猫が呼ぶ部屋へ導かれる。そこでとっさにダニーは心の中にある封印の棺を使おうとするが、そこにいるのが自分を救ってくれた師・ハロルドであることを知ると途端に顔をほころばせ、久しぶりの逢瀬に笑みを浮かべた。
だが、ハロルドは、ただダニーに会いに来たわけではなかった。
ダニーと出会ったことでダニーを救うために自らがやったように、今度はダニーがアブラを救う番なのだ、とそう告げにやってきたのだった。
これは必ずシャイニングを見た方がいいです。特に、あの因縁のホテルで父と再会するダニー。もはややつらと同じ存在となり、自らの記憶さえ消えてしまった父との再会…そして大人が子供を守る、という当たり前のサイクルがどうやって回っているのか、それが如実にわかる、なんかすごい胸に来る作品です。
原作といろいろ違うみたいですが、火がすべてを浄化する、という意味がわかるくらいに美しい炎があがっています。
優しくてまっすぐな人は時にかんたんに死んでしまう。そしてそういうものを持っているのは大半が子供だ。大人は子供を守る。大人に守られた子供は、子供を守る大人になれる。キングほんとすき。