《内容》
12歳のアリス(ポーラ・シェパード)は、母親につれられて、妹カレン(ブルック・シールズ)と共に教会へ行った。神父にも可愛がられ、母親の愛情を全て受けているかに見えたアリスは、妹に嫉妬を覚える。ある日、アリスの歪んだ欲望を具現化するかのように、教会でカレンが惨殺され…。70年代傑作のチャイルド・ホラー作品。
こういうの好きでしょうがないマンの自分にとっては歓喜でした。
なんていうジャンルなのかなぁ、ダークファンタジーと言ったらいいのか、うまいジャンルが見つけられないのですが残酷なんですがかわいらしさがあるというかなんというか。
カルト的な人気がありそう。
悪の華の継承
主人公アリスは妹のカレンに嫉妬していた。
あまりに美しく愛嬌のある子どもであるカレンに母も神父もメロメロであったので、姉のアリスはカレンに意地悪をしてしまう。
ある日、カレンの聖餐式についていったアリスは、どさくさに紛れて列に紛れ込むが、アリスの番になるとカレンの死体が発見され聖餐式は中止となる。
周りはふだんから素行が悪く、カレンに意地悪をしていたアリスに不信感を募らせるのだった。
その後、カレンの死で落ち込んでいる妹(アリスの母)を思った叔母がアリス宅に居座るのだが、叔母はアリスに冷たく、アリスも叔母を疎ましく思っていた。
そんな矢先、黄色いレインコートで不気味なお面をつけた女が叔母を襲った。ナイフでめった刺しにされた叔母はその風貌から犯人はアリスだというが、母はアリスの無実を主張し続けた。
しかし、警察もアリスに目をつけ、ウソ発見器をアリスに試したりと、アリスはどんどん追い詰められていく。だが、アリスは落ち込むわけでもなく、家主にケンカを売ったり、憎たらしい少女っぷりは健在であった。
黄色いレインコートに不気味なハロウィンマスクが次々に人を殺していくがなぜか怖くないのは、犯人が焦っているような気がしてならないからである。
衝動で人を襲うため、予期せぬ抵抗や、予期せぬ人物の登場により、慌てて逃走したり、再度襲いなおしたり、確実な殺意はあるもののどこか未熟で、ドジっ子のような部分があるので余計にこの犯人がアリスなのでは?と思わせるのだった。
大人にまったく好かれないアリス。だが、愛されたいアリスは、自分のあまのじゃくさをコントロールできない。
家主へのいたずらもゴキブリを集めた瓶の蓋を開けて、お昼寝する家主の腹の上に置いておくくらいのいたずらというか高度なイヤガラセである。
生まれつき容姿も美しく天真爛漫な妹のような人もいるように、生まれつき不器用なアリスのような人もいる。
アリスに不安定で暴走する欲望は、まだアリスの幼さがゴキブリで終わらせているが、大人になればもっと大きなイヤガラセになる。
黄色いレインコートと不気味なハロウィンマスクは揃ってる。あと必要なものは、物語のラストでしっかりとアリスの手に渡された。
欲望をコントロールするのが苦手な子供と、その子供が我慢して大人になったらどうなるか。花は摘み取られたとき、種を落とし、新たな芽を待ち望む。惡の華は永遠になくならない。