《内容》
ただ1人分の人間の存在だけが必要なシーンで利用でき、ごく簡単なうけこたえ以外なんもしない―。そんな「レンタルなんもしない人」というサービスを始めた森山将太の元に大宮亜希から「東京最後の一日に付き合ってほしい」という依頼が舞い込む。亜希は出版社の編集部員だったが、契約を切られ、故郷の栃木に帰るのだという。東京で何の爪痕も残せなかった…と涙を流す亜希に“レンタルさん”は…。
twitterで知ってたんですが、ドラマで見るとすごい面白いなぁと思いながら見てました。
人は見守られてると実感できると強くなれる
レンタルなんもしない人、というのはtwitterのDMで依頼を受けて、交通費だけをもらいその人の行動に付き合う・・・という人です。
例えば
- 誕生日を一緒に祝ってほしい
- 思い出のレストランに一緒に行ってほしい
- 話題のパンケーキ屋に一緒に並んでほしい
- 花見の場所取りしてほしい
- ダブルベッド選びに付き合ってほしい
- 棺桶選びに付き合ってほしい
- 恋人のノロケを聞いてほしい
・・・などなど。
自分が何かを判断するとか意見を言うとか、そういうことは抜きで1人分の何かが必要なときに呼んでください、という感じです。
印象に残ったのは、主婦の回で、思い出のレストランが閉店してしまうので一緒に行ってほしいという依頼。
ベビーカーと子供を抱えてバス停でバスを待つが、バスは満員で入る勇気が出ず次のバスを待つことに。だが、次のバスも満員。
逡巡する依頼者をよそになんもしない人はバスに乗り込む。乗客はなんもしない人が乗った分後ろに下がりスペースを空ける。その光景を見て主婦も乗り込む。
一人だといろいろ考えて行動できないときってありますよね。
「きっと自分が乗ったら迷惑だろう」そう思って動けないとき、一緒にいる人が先に動いて、さらにその人によって乗客が動くことが分かったら世界が開けますよね。
なんもしない人は何もしてないのですが、依頼者の心は変わる。すごくドラマチックな回だなぁ、と印象に残っています。
だが、世の中にはこんなやり方はおかしいのでは?という意見もある。子供がいて、奥さんもいて、子育てもせずボランティアなのか何なのか、とにかくお金だけは確実に減っていくという生活。
もちろん人の人生はそれぞれで、うらやましいなら自分もやれば?と言われたらそれまでで、こんなことをできる人は限られてるのだけど、それによって不安な気持ちや自分がやっていることに不安を感じる人からの攻撃的なリプもレンタルなんもしない人にやってくる。
奥さんの両親も娘を心配している。
私はお金がないと不安で死んでしまうマンなので、絶対にできないし、自分の友達がこんな生活をしていると言ったらとても笑顔にはなれない。
レンタルなんもしない人の依頼者への貢献はすごいことだと思う。だけど、10000人の人生の中の通りすがりの内の1人になるより、5人くらいの人の人生の中の重要な1人になりたい、、、と思いました。
でもなんだかんだいって、10000人の人生の中の通りすがりの内の1人になってもそれがお金になるのなら不満はないんだろうな、と思う。結局問題はお金かな。
〈レンタルなんもしない人〉というサービスをはじめます。 スペックゼロでお金と仕事と人間関係をめぐって考えたこと
- 作者:レンタルなんもしない人
- 発売日: 2019/06/28
- メディア: Kindle版
これ読んだらもうちょっと理解が深まるのかな、と思いました。