《内容》
ペテルブルグに住む貧しいインテリ青年の孤独と空想の生活に、白夜の神秘に包まれた一人の少女が姿を現し、夢のような淡い恋心が芽生え始める頃、この幻はもろくもくずれ去ってしまう……。
ドストエフスキーってめっちゃ喋るよなwwwwwwwwww2ページすべてセリフで埋まってたりして笑うんだがw
失恋で切ない話かと思ってたんだけど、これ当時の読者絶対笑ってるよね?違うの?これがロシアの一般男性のやり取りだったのか?連続して川端康成の「古都」読んでたんだけど、こっちはほぼ一言なのに対してめっちゃ喋ってる・・・面白すぎる。
終わることが分かっている恋
タイトル「白夜」からも分かるように、永遠に続くものではなく特別なものであり、必ず終わりがくるもの。
そして「白夜」とは主人公の青年であり「日常」とは青年が恋したナースチェンカとその恋人であり、主人公の青年の冴えない毎日なのであった。
とある夜、青年は運河のらんかんの格子に肘をついて濁った運河の水を熱心に見つめ続ける少女を発見する。青年はどきどきしながら彼女の近くを通り過ぎるが、すすり泣くような声が彼の足を止める。
時刻は夜。青年の心境はこうである。
私は引きかえして彼女のそばに歩みより「お嬢さん!」と声をかけようとしたーーもしもこの呼びかけの言葉がロシアの上流社会をえがいたあらゆる小説のなかで、すでに数千回も繰りかえされたものであることを知らなかったら、かならずそれを口にしたに相違ない。だがただそのために私はそれを口にするのをひかえたのである。しかし私が適当な言葉をさがしているあいだに、娘はわれにかえり、あたりを見まわすと、ハッとしたように眼を伏せて、私のそばを滑り抜けて運河沿いの道を歩きだした。
青年がアワアワしている間に娘がさっと歩いて行ってしまうシーンが想像できて非常によきw
この「ハッ・・・かわいい娘が泣いている・・・しかし「お嬢さん!」などと上流貴族めいてかつ使い古された声かけなど恥ずかしくてできぬ・・・なんと声をかけたら・・・って娘歩いて行ってしまったーーーーー!」という感じが思い浮かんでおもしろすぎるwww
どうしよう・・・と焦る青年に助け舟を出したのはなんと酔っ払い。
娘を酔っ払いから守るという自然かつ男らしい大義名分を得た青年は颯爽と娘の前に立ち話しかけることに成功するのだった。
どうしてあの人がーーあなたではないんでしょう?どうしてあの人は、あなたみたいな人間ではないんでしょう?あたしはあの人をあなたよりもずっとよけいに愛しているにはちがいないけど、確かにあの人はあなたより劣っていますわ
娘・ナースチェンカと仲良くなった青年は、ナースチェンカから「帰りを待っている人がいる」「私に恋をしないで」と告げられる。
青年は速攻で失恋したがナースチェンカと会えなくなるのは辛かったので「いいとも!」と返事をし、娘の恋を応援する。
だが、娘の待ち人からの便りは来ない・・・。失意に暮れるナースチェンカ。そしてそんな自分のそばに寄り添ってくれる青年の方が自分に合ってるのでは・・・と心揺れ始め青年の恋に始まりの影が見えるが・・・
ちょっと森見登美彦の「太陽の塔」を感じるんだよなぁ。恋に慣れていないインテリ青年の不器用な恋ってところが。
ナースチェンカも悪いんだけど、悪女というより哀れと言う感じで美しさが最後まで続いていたところがよかった。