深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】82年生まれ、キム・ジヨン~「私も頑張った、あなたも頑張った、だからこの子もできるはず」はもうやめよう~

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《内容》

結婚を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨンは、時に閉じ込められているような感覚に陥ることがあった。「疲れているだけ、大丈夫」と夫のデヒョンにも自分にも言い聞かせる彼女だったが、ある日から、まるで他人が乗り移ったような言動をするようになる。その時の記憶はすっぽりと抜け落ちている妻に、デヒョンは傷つけるのが怖くて真実を告げられず…少女時代から社会人になり現在に至るまでの彼女の人生を通して、見えてくるものとは-

 

流行ったよね

spur.hpplus.jp

 

これ何回見ても泣いちゃう。

男は、女は、という主語で語りたくないけど・・・モヤってするな。男の人でも辛い思いをしてきた人はいると思うけど、この映画は男尊女卑の話だから、やっぱり男性のために犠牲になってきた女性、という視点でどうしても沸々と怒りがこみあげてしまう。

 

自分の意見を持とう

 主人公は三人兄弟の中間子で出産を機に専業主婦となったキム・ジヨン。仕事が好きで、結婚と出産を経験しながらチーム長として活躍する上司にあこがれるほど、仕事への情熱を持っている。

 そのため、産後も落ち着いたところで仕事復帰しようと試みるのだが、義母に「息子に育休なんて恥をかかせるのか、女が働いたところで男ほど稼げない」と一蹴されてしまう。

 

 夫の実家に帰った時も家政婦のように使われるジヨンにはいつからかいろんな人の声が聞こえるようになる。

 

あなたが花盛りの頃
兄さんたちを支えるため
工場でミシンを回してた

 

あなたがやつれた顔で給料をもらってくるたびに
胸が張り裂けそうだった

 

あなたがミシンで怪我した時
母さんは身を切られる思いだった

 

あの時 抱き締めてやれず
感謝の言葉さえ言えなかった

 

ごめんね

 

ジヨンならつらくても頑張れるはずよ
強い子に育てたでしょ

 

 義母からジヨンが精神病なのに働きたいとは何事かと電話をもらった母・ミスクは急いでジヨンに会いに行く。そこで私が子供の面倒を見るから働きなさい、とジヨンに告げると、ジヨンにミスクの母が乗り移ったのか、こう答えるのだった。

 

 こういう「私も頑張った、あなたも頑張った、だからこの子もできるはず」という連鎖が今の社会を作り、また男性側も「そう育ったから」という英才教育の元、悪気なく女性を足蹴にしていく構造になっていた。

 

 ミスクは内気で誰にも病のことを告げず、1人で諦め続けた人生を思いその連鎖を断ち切ろうとする。

 ミスクがジヨンの状態を自分の目を見て家で寝込んでるとき、父親が健康で全く問題のない末息子の漢方を買ってくる。リビングから聞こえてくるその声にミスクは目をかっぴらき起き上がるとリビングに突進しテーブルの上の漢方をぶちまけ「お前の子供は息子だけか!!」とキレる。

 

 突然キレられて動揺する父と息子だったが、ミスクの主張に黙り込み、父は娘のために後日漢方を注文するのだった。

 

 また、ジヨンがまだ学生だった頃、痴漢にあったときも急いでバス停まで迎えにきた父だったが「お前の危機管理能力不足だ」ばりにジヨンを責める。

 

 なんというか「自分の頭で考える」ことがなく、周りの考え方=自分の考え方になっているように見える。最近見た「ずっと独身でいるつもり?」にもあったけど、自分の知らないことはバカにしていいというシーンが他にもあって、ただの男尊女卑の話というより、もっと自分の頭で考えよう、と思った。

「自分のアタマで考えよう/ちきりん」の記事を読む。

 

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原作↓

 ジヨンは中間子で、一番上のお姉ちゃんはジヨンと真逆でそういう風潮に対して自分でNOと言えるんだよね。そこがいい味出しているというか、女性全員がジヨンなわけじゃないけれど、比率で言えばジヨンの姉のように言い返せずに「自分には能力がないから・・・」と自己卑下してしまう人が多いから流行ったんだと思う。私も嫌なことはNOと言えるように、それがすっきりしなくても「悪くない」を積み重ねていきたいな、と思いました。