深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】クズとブスとゲス~他人の言いなりになるやつはみんなブス~

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《内容》

ストレート過ぎて歯止めの効かない前科者(クズ)。
流されるように奈落の底に落ちる女(ブス)。
女を騙して金を巻き上げる卑劣な男(ゲス)。
生き残るのは、誰なのか――?

女性に声をかけては薬で正体不明にさせ、裸の写真を撮って強請りを働く卑劣なスキンヘッドの男。今夜もまたひとりの女を強請りにかかるが、女はヤクザの下で働く商売女だった。怒り狂ったヤクザに1週間以内に200万円払わないと殺すと逆に恐喝されるハメになった男は、新たなカモを見つけようとある女に近づく。女はある前科者の恋人で、足を洗えない恋人と喧嘩していた。あっけなくスキンヘッドの男に落ちた女だったが、それに気づいた前科者がスキンヘッドを追いつめる――。

 

 クズとゲスに関してはそのひどさに大小はあれど、人道的にアウトであったりずる賢さで人を陥れたりする他者に害を与える人物と定義できるけど、ブスって完全に人それぞれの美的感覚じゃね?ってずっと思ってた。

 

 そういう思考なので、タイトルを見て、クズとゲスと同列に"ブス"を入れるのはなんで?って思いながら見てたんですけど、ブスの意味が外見ではなく行動であることがこの映画を観てて分かりました。

 

ブスは幸せになれない

 この映画のクズとブスとゲスは

 

クズ・・・リーゼントの前科持ちの男

ブス・・・リーゼントの男の彼女

ゲス・・・パッケージのスキンヘッドの男

 

である。ゲスは手当たり次第女に声をかけ監禁したり脅してデリヘル嬢にしたりして女で金を稼ぐゲスである。

 

 このゲスに声をかけられ因縁をつけられデリヘル嬢にされてしまったのがブスである。前科がありクスリはもうやらないと言ったのに手っ取り早く稼げる大麻から逃れられず、大麻売りの報酬で彼女の誕生日を祝ったりして彼女にキレられる。

 

 彼女は愛しているけどクズな彼氏への苛立ち、それにそばにいて欲しい時にそばにいてくれない寂しさをゲスにつけいられ無理やりデリヘル嬢にされてしまう。

 

 クズはダメダメだけど彼女を愛しており、彼女がデリヘル嬢になったことを知らず男とホテルに入っていくのをみて浮気だと勘違いしてしまう。ホテルに乗り込み彼女をビンタし相手をのしたあと泣き出すクズ。

 

あたし嫌だったんだけどお酒に付き合わされて

そしたら無理やりなんだかわかんない薬飲まされて

気付いたら裸で

裸の写真撮られてて

私だってこんなことしたくないけど

やらないと写真ばらまくって

二度と表歩けなくさせてやるって脅されて

 

あたし

どうしたらいいか分からなかったの

 

 そして彼女の告白を聞いたクズは大声で叫んだあと、夜道を大声で歌いながら走ってる自転車にドロップキックをかまし自転車でゲスの元に向かう。彼女は一人ホテルから逃げ、その報告を受けた大元もクズの家に向かいゲスとクズの大乱闘となる

 「人という字は、人と人とが支え合っている姿を表したもの」というのは金八先生の有名な言葉ですが、まさしくお互い支え合って生きていたのがブスとクズであった。

 

 少なくとも彼氏の前ではブスではなかったが、社交性が薄く彼氏への依存心が強く言いなりになってしまう点ではブスであった。クズの彼氏も自分の前では自分を叱ってくれる彼女だったから甘えがあったのかもしれないが、デリヘル嬢にさせられてしまうほどか弱い女性であったことを知ってからはクズではなく彼女を守る男となる。

 最後のシーンはクズとブスの葬式であり、新たな男女としての生まれ変わりの儀式に思えた。クズとブスにあってゲスにないものは""である。人を人としているものが"愛"ならば、それを武器にした時に淘汰されるのは持たざるものであるゲスとなる。