深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】バクラウ 地図から消された村~暴力でねじ伏せられないのが“歴史”であり、“集落”は血の絆である。~

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《内容》

村の長老である老婆カルメリータの死をきっかけに故郷の村バクラウに戻ったテレサ。しかしその日から村では不可解なことが次々に起こり始める。突然、村はインターネットの地図上から姿を消し、上空には正体不明の飛行物体が現れる。村の生命線である給水者のタンクに何者かが銃を撃ち込み、村外れでは村人が血まみれの死体で発見される。めったに現れないはずの余所者の来訪、それは血で血を洗う暴力と惨劇の幕開けだった。

 

暴力でねじ伏せられないのが“歴史”であり、“集落”は血の絆である。

その土地に染み付いた血の歴史が絆となったバクラウでは、たとえ世界から存在を消され“無いもの”とされても血の歴史が生きていた。

 

アクションホラーというべきか、スカっとする展開ではあるものの、胸糞シーンは多い。

 

階級と不平等

人が夢見つつも手にすることのない正義のように。 」とは「高い窓」に出てくる言葉だが、いつの時代も夢に見ながら決して叶えられないのが不正と差別である

 バクラウはブラジルの市に属する村で水利権を市と争っていた。市町は村の水を止め制裁を与えつつ、古本や薬、賞味期限切れの食料などの物資を運び「村を大事に思っている良い市長」を演じていた。

 

 もちろん村民は浅はかな市長の企みなど承知の上だった。自分たちのライフラインをせき止めながら必要とはいえゴミみたいなものよこしていい顔されてもね。

 

 村民は市長を拒むように彼が来ると家に隠れ息を潜めた。

 

 そんなある日大切なライフラインである給水タンクに銃弾が撃ち込まれ、さらに村人が殺されるという大事件が起きる。

 村を訪れたフルフェイスの謎の白人男女2名。彼らの来訪こそが市と村の凄惨な争いのゴングであった。

 

Globe and MailのBarry Hertz氏は、この映画を「猛烈な反植民地主義の論争提起であり、この映画を観た後は、主役の村の人々と同じように唖然とした感覚になるだろう。」と好意的なレビューを与え[13]、RogerEbert.comのMonica Castillo氏は、今も続く植民地主義、政治腐敗、アメリカ帝国主義を描いているとして、階級と不平等がモチーフである『ナイブズ・アウト』や『パラサイト』との同時代性を指摘した[14]。Canadian PressのDavid Friendは、ウド・キアの演技に注目し、「彼の最高の悪役の一つだ。」と評価した[15]。

(wikipediaより引用)

 

 とあってびっくりしたんですが、超話題作となったパラサイトと同じ時期に生まれた作品だったんですね。

 骨格が下剋上であることはさることながら、バクラウのその後も恐らくパラサイトと同じようにハッピーエンドではないだろう。

 バクラウのこれは始まりでも終わりでもなく何年かに一度やってくる人災なのだ。

 

 まだ正義と正義の戦いなら美しさもありけりって感じだけど、村を襲う雇われ戦隊は殺人ゲームが大好きなアマチュア寄せ集め。だから別に仲間ってわけでもない。普通に裏切るし仲も良くない。だけど作戦成功のときは上がりに上がりまくったテンションで草原でセックスおっぱじめたりするんだよ、でそれもドローンみたいな監視円盤に中継されてるし、それも承知の上って感じでヤりながら監視円盤に向かって中指立てるのね。

 

 人々が生活している村をこんなゲスに殺されるのも、こんなゲスがいることも胸糞だが、この村ではそれを知ってるんだよね。

 

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 単純に見れば、スカッとする展開だけどこれに実在のモデルがあると知ったら全然笑えないよね。

 パラサイト同様怒りや現実問題を重く扱い見る人を限定するのではなく、エンタメにして多くの人に問題提起するというのが、すごくクールで情熱も感じられてかっこよかったです。