深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】はるヲうるひと~おとぎ話みたいにキスで呪いが解けたらいいのに~

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《内容》
とある島。そこは至るところに「置屋」が点在する、いわば売春島。住民たちはこの閉塞された島で一生を過ごす。ある置屋にその「三兄妹」はいた。長男の哲雄、次男の得太、長女のいぶき。ここで働く四人の個性的な遊女たちは、哲雄に支配され、得太をバカにして、いぶきに嫉妬していた。出口のない閉塞感に苛まれつつ無為に生きる面々。だが、三兄妹の父・義雄をめぐる「ある秘密」が明らかになり…。R15

 

キャスト豪華すぎん!?

とびっくらこきました。

タイトルはそのまま売春のことですが、この時代設定はいつなんだろう、と思うほど独特な雰囲気。日本だけど日本じゃないみたいな、設定は地獄ですが背景はファンタジー的な不思議な作品でした。

 

生きていくとは、何者かになることではない

 

何年も締めてると体が慣れて割と平気になるんだよ
平気になるっていうか鈍感になるのかな

 

君らもそうでしょ?
君らも同じじゃない

 

 売春の島を舞台にした本作。ここで暮らす遊女と、置屋を生業とする三兄弟の物語。    三兄弟といっても母違いの兄が実権を握り、妾の子供である兄妹は兄の言いなりだった。

 兄は愛を信じず、遊女にも兄弟にも冷たくあたる。だが、この物語はこの売春島から出ていく物語ではない。この島から出ず、この島で遊女として働いていく、という話なのだ。

 

 それは”慣れ”かもしれない。サラリーマンが首にネクタイを巻き付けることを苦しく思わなくなるように、遊女たちもキスするときに目を閉じないことに鈍感になってくる。

 

 ラスト、1人の遊女が結婚式を挙げる。そのときはじめて彼女は誓いのキスで目を閉じる。それはまるで瞼にかけられた呪いがとけるかのように、物語の幕を閉じるかのように慎重に閉じられたのだ。

 

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