《内容》
父、母、兄、自分の4人家族を被写体に、“家族がなりたかったもの、やってみたいこと"をテーマに多くのシチュエーションで撮影、ユニークな《家族写真》を世に送り出した写真家・浅田政志。普通の家族が、様々な姿になりきった姿を収めた写真集「浅田家」は、好評を博し、写真界の芥川賞ともいわれる第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。本作は、この「浅田家」と、東日本大震災で泥だらけになった写真を洗浄し持ち主に返すボランティアに参加した浅田政志が、作業に励む人々を約2年間撮影した「アルバムのチカラ」の2冊を原案に、実話に基づき独自の目線で紡いだオリジナルストーリー作品です。彼の人生と彼を支えた家族をユーモアたっぷりに描き、なぜ彼が“家族"という身近な存在を被写体として選び、撮り続けるのか。一人の写真家の人生を通して《家族の絆》《写真が持つチカラ》を色濃く映し出します。
私、中野量太監督の作品めっちゃ好きなんだな、と思いました。
中野量太監督の作品↓
家族の絆というものを題材にしている監督だと思います。何か問題がある家族というより、普遍的な家族の出来事を描いています。浅田家は震災の話も入りますが、そこまで重くならずに家族の絆を伝えられるのが中野監督の素敵なところだと思いました。
家族写真
政志はなりたい自分になれたらええな
浅田家の次男・政志は上京しカメラの専門学校に行くもちゃらんぽらんで卒業も危うい状態だった。最後のチャンスとして「一生にあと1枚しか撮れないとしたら」という先生の言葉をきっかけに実家に帰る。
そこで看護師の仕事に全力を注ぐ母をサポートするために、主夫となった父に今の自分はなりたかった自分なのか?と問うと、消防士になりたかった、という。そこで政志は長男に友人のツテで消防車借りてよ~!と頼み込む。
甘え上手な政志はやりたい放題好き放題に生きているが、結局のところ家族を巻き込んで幸せにしているのだった。
プロの写真家になって出した写真集「浅田家」は鳴かず飛ばずだったが、写真界の芥川賞を取ってからは家族写真を撮るカメラマンになるが、東日本大震災によって家族写真を撮ることができなくなってしまう…
これが病気の父親を残してやりたいことをやる息子を送り出す痛み、覚えといてな
あんたはもう自分のやりたいことをやりなさい
で、たまに家族のことを喜ばせてくれたらそれでいいから
しかしカメラを始めるきっかけとなった父親が倒れ入院となり、残った親子3人で家族写真を見ていたときに政志は小さい頃いつも自分と兄を撮ってくれた父の姿を思い出す。
カメラのレンズで目は見えないけれど、目の前には父がいた。例え、写真には写っていなくても、その写真の記憶には父が残っていたのだ。
そのことに気付いた政志は入院し意識不明の状態の父を残し、再び東北の地でいなくなった父親を捜す少女のもとに向かう。
アマプラ公開中↓
政志は自分のやりたいことをするんだけど、それができるのは家族や恋人のサポートや愛に支えられているからだ。言葉にするとなんてことないんだけど、愛が土台になければやりたいことなんて怖くてできない。中野監督の愛の表現が私は好きです。