《内容》
7年前に娘をクラスメートに殺害されて以来、現実逃避を重ねてきた樋口克(尚玄)のもとに、裁判所からの通知が届く。
懲役20年の刑に服している加害者、福田夏奈(松浦りょう)に再審の機会が与えられたというのだ。
ひとり娘の命を奪った夏奈を憎み続けている克は、元妻の澄子(MEGUMI)とともに法廷に赴く。
しかし夏奈の釈放を阻止するために証言台に立つ克と、つらい過去に見切りをつけたい澄子の感情はすれ違っていく。
やがて法廷では夏奈の口から彼女が殺人に至った動機が明かされていく…。
人を赦すことは人類最大の課題
自分の大切な人が殺されても、殺した相手は生きている。判決は当事者ではない第三者によって決められる。だから必要なのは「言い方」や「表現」で、それに長けた弁護士同士が戦う。
第三者は年齢や境遇や、一見事件と関係ないことを考慮する。だけど、それがなんであれ、自分の大切な人を奪っていい理由にはならないはずだ。だから、例え彼女が未成年でも、永遠に自由を奪いたいと思うことが不自然だとは思わない。
なぜなら自分の大切な娘は自由もクソもないこの世界のどこにもいないのだから。
主人公の樋口は愛娘を同級生に殺された。殺人罪によって懲役20年の刑に服している加害者・福田夏奈に再審の機会が生まれ、その内容は減刑だ。20年は長すぎるだろう、厳しすぎるだろう、ということだった。
人を殺しておいて、軽いとか重いとかないだろう、社会的に福田が若者だとしても、樋口にとっては若者でもなんでもない、ただの殺人者なのだ。だから、この減刑は赦せない。未だ憎しみが色褪せず残っている樋口に対して、別れた妻は憎しみ続けることに疲れていた。
一方、福田はこの七年間の中で、なぜ彼女を殺したのか、なぜ彼女に憎しみを募らせていったのか、誰も知らない真実と向き合っていた。
赦すとか、そもそもないんだ、という考えです。私たちは神様じゃない。犬や猫や虫が人間になれないように、人間もどんなに神の教えを創ったって神様になんかなれない。