《内容》
このアンバランスな世界で見つけた
私だけの孤独————
箱に閉じ込められてしまったふたりの男、朝起きたら種に覆われていた女、
テスの手は鉤爪に変わり、フランシスは魚しか食べないことにした……。
AMからPMへと、時間ごとにゆるやかに奇妙にずれていく120の物語。
ロナルド・スケニック/アメリカン・ブックレビュー・イノべイティブ・フィクション賞、ヤングライオンズフィクション賞受賞、ペン/フォークナー賞、シャーリー・ジャクスン賞ファイナリスト!
アメリカでいまもっとも注目を浴びる新たな才能、鮮烈デビュー作!
独特すぎて。
ちょっと私には難しかった。
ただ、文章はめちゃくちゃ読みやすいし、一時間ごとに区切られた章は1〜2ページほどなので全然読めちゃう。
難しいと思うのは、外国の人の名前って例えばボブとかジョンならなんとなく男かなーって見当つくんだけど、それ以外だと誰が誰なのかわからなくて、一つの話が1〜2ページほどだから、全然キャラクターが掴めないまま別の軸の話に移動してしまうこと。
読み方がわかればグッと面白くなりそうだな、と思いました。
それでも僕らは生きていく
うまく部屋を塗らないと、うまくいかなかった壁をずっと忘れられないことになると心せよ。正しく塗られなかったペンキの跡が静かに存在し続けることを。失敗した一はけ一はけは新しく塗り直されても消えない、鈍い真実を秘めている。
22:PM
ウォレスにとっての名誉の概念によって、彼が決して満ち足りた気分で眠りにつくことができないのは確かだった。彼の神の概念は、パンからパンを生み出すような存在は恐ろしい、ということだった。愛は広さというより強さであり、悲しみは強さというより広さである。ウォレスは痛みの水平な性質と、愛の垂直さを信じていた。
AM:113
日常の些細な出来事、些細な会話、そういったいわゆる普遍的であるはずの世界に小さな歪みが入り込む。人はコミュニケーションをとる。悩みを相談したり、今日起きた出来事、ゴシップやニュースで話題には事欠かない。
でも、その小さな歪みは決して誰にも話さない。数センチの違和感はじくじくとあなたを侵食するかもしれないし、ただの気のせいかもしれない。
人は生きていく中で、その小さな歪みに絶え間なく出会う。それをひっそりと愛するか、異物だと除外するか、それもまた”人生”なのだろう、と思う。
例え何度も失敗しても、何度期待を裏切られても、それでも生きている限り諦めることなんてできないんだ。