《内容》
いちばんたいせつなことは、目に見えない
世界中の言葉に訳され、70年以上にわたって読みつがれてきた宝石のような物語。今までで最も愛らしい王子さまを甦らせたと評された新訳。
これまでで最も愛らしく、毅然とした王子さまが、優しい日本語でよみがえります。世界中の子供が、そして大人が読んできた。世紀を越えるベストセラー。
砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった。
一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語は、刊行後六十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんで離さない。最も愛らしく毅然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。
世の中には、間違いなく大人になってから読んだ方がいい児童書がある。それはもちろん人によって違うのだけど、「星の王子さま」は効率主義の今、それに馴染みながらもどこか疑問を持っている人が読むと効くと思う。
あとは、自覚はしていないけれど、心の奥にそういう違和感を持っている人が読んだとき、この物語は深く心に作用する。
全体主義もいいけどさ
「もしも誰かが、何百万も何百万もある星のうち、たったひとつに咲いている花を愛していたら、その人は星空を見つめるだけで幸せになれる。<ぼくの花が、あのどこかにある>って思ってね。でも、もしその花がヒツジに食べられてしまったら、その人にとっては、星という星が突然、ぜんぶ消えてしまったみたいになるんだ! それが重要じゃないって言うの!」
シンプルに人が大事なものを大事にしようってことなんですね。
じゃあそのために、僕や他の人は大事なものをあきらめなきゃいけないのかって言うとそうではない。
これはハウツー本でも自己啓発本でもなくて、ただ、人間の根源的な良心に問いかけているのだ。
君に大事なものや守りたいものがあるように、他の人も同じなんだ。それは人から見たらたくさんある花のうちの一つかもしれない。でも「バラ」っていう品種だと記号化しないで、これは彼の大切な一輪の花なのだと、オンリーワンなのだと、かけがえのない代わりの効かないものなのだと、それでも君は「そんなこと」と切り捨てられるの?
と王子は問いているのですね。
いつの間にか手段自体が目的にすり替わり、原始的な祈りや願いを見失う。生きるってそういうところあるじゃないですか。王子のイノセントが、あるかもわからん未来より今を大事にしようと思わせる。