深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

回転木馬のデッド・ヒート/村上春樹~否定も時には救いになる~

≪内容≫ 現代の奇妙な空間―都会。そこで暮らす人々の人生をたとえるなら、それはメリー・ゴーラウンド。人はメリー・ゴーラウンドに乗って、日々デッド・ヒートを繰りひろげる。人生に疲れた人、何かに立ち向かっている人…、さまざまな人間群像を描いたスケッ…

レキシントンの幽霊/村上春樹~綺麗に冷凍保存されるための今なんていやだ~

≪内容≫ 氷男は南極に戻り、獣はドアの隙間から忍び込む。幽霊たちはパーティに興じ、チョコレートは音もなく溶けてゆく。短篇七篇を収録 寂しかったり悲しかったり怖かったりする話。 村上春樹の小説の中でも割と分かりやすい一冊かな、と思いました。 やは…

螢・納屋を焼く・その他短編/村上春樹~たった一回負けてすべてが終わるなら勝負なんかしたくない~

≪内容≫ 秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを感じとることができた。でも、それだけだった。彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕だった。僕の温もりで…

姫君/山田詠美~短編集には短編集にしかない魅力がある~

≪内容≫ 「母が首を吊ったのを見つけた時、ぼくが、まだ五歳だったのは幸せなことだ。十歳だったら泣きわめいていただろうし、十五歳だったら心の病気にかかってた。今だったらどうだろう。きっと笑ってた。二十歳。もう、ぼくは、人が、おかしくなくても笑う…

ドリアン・グレイの肖像/オスカー・ワイルド~肉体は死に向かっても、魂は常に生まれ変わり続けている。~

≪内容≫ 舞台はロンドンのサロンと阿片窟。美貌の青年モデル、ドリアンは快楽主義者ヘンリー卿の感化で背徳の生活を享楽するが、彼の重ねる罪悪はすべてその肖像に現われ、いつしか醜い姿に変り果て、慚愧と焦燥に耐えかねた彼は自分の肖像にナイフを突き刺す…

象工場のハッピーエンド/村上春樹~ほろ酔い気分で読むと倍楽しい(たぶん)~

≪内容≫ 名作『象工場のハッピーエンド』の復刊。長い間、絶版になっていた単行本を、読者の声にこたえて復刊する。安西水丸の明るく楽しいイラストと、村上春樹がそこから喚起された文章で、ある世界を構築する 久しぶりにお酒を飲みました。 私は酔うと寝る…

ランゲルハンス島の午後/村上春樹~己の理想郷の岸辺に触れよ~

≪内容≫ まるで心がゆるんで溶けてしまいそうなくらい気持のよい、1961年の春の日の午後、川岸の芝生に寝ころんで空を眺めていた。川の底の柔らかな砂地を撫でるように流れていく水音をききながら、僕はそっと手をのばして、あの神秘的なランゲルハンス島の岸…

壁を破る言葉/岡本太郎~OASISで一番好きな曲はWONDERWALL~

≪内容≫ 出口を探している、すべての人へ。なぜ、創るのか。なぜ、生きるのか。岡本太郎から強烈な一撃!ベストセラー「強く生きる言葉」に続く第2弾。 壁って色んな表現が出来ますね。 破るとか乗り越えるとか壊すとか。 wonderwallとか。 ワンダーウォール…

強く生きる言葉/岡本太郎~柳のようにしなやかに生きていきたい。~

≪内容≫ 岡本太郎が普段の生活の中で動きまわりながら、ふっと洩らす言葉。その中から彼の独特の哲学、人生論というべきものを集める。強烈な強さと優しさで、「生きる力」と「夢をかなえる勇気」を与えるメッセージの数々。 岡本太郎好きです。 読むとどんな…

女のいない男たち/村上春樹~世界はそっくりそのまま月の裏側なのだ~

≪内容≫ 「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」他全6篇。最高度に結晶化しためくるめく短篇集。 男になったことがないので分かりませんが、芸能人のニュースとか見てると「ああ・・・」って残念になることがあります…