深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

砂の女/安部公房〜孤独とは幻を求めて満たされない、渇きのことなのである〜

《内容》 砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める部落の人々…

壁とともに生きる わたしと「安部公房」/ヤマザキマリ〜何者かであろうとする虚しさ〜

《内容》 不自由で理不尽な社会で、心涼やかに生きるには?自由に生きれば欠乏し、安定すれば窮屈だ。どうしようもなく希望や理想を持っては、様々な”壁”に阻まれる――。そんな私たち人間のジレンマを乗り越えるヒントは、戦後日本のカオスを生きた作家・安部…

書記バートルビー/メルヴィル〜救い難いほど孤独でかつ生きる力が弱いものはどう生きる?〜

《内容》 ウォール街の法律事務所で雇った寡黙な男バートルビーは、決まった仕事以外の用を言いつけると「そうしない方がいいと思います」と言い、一切を拒絶する。彼の拒絶はさらに酷くなっていき…。不可解な人物の存在を通して社会の闇を抉る、メルヴィル…

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』をどう読むか〜愛は差別化と排除によって成り立つ〜

《内容》 超話題の春樹の新作は名作なのか問題作なのか。そして何を問いかけるのか——強力なメンバーで謎めいたその世界へ挑む必読の一冊を緊急刊行。豊崎由美×大森望、加藤典洋、安藤礼二など。 今更感満載ですがw ふと他の人の感想が気になって読んでみまし…