深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

小説のように/アリス・マンロー~事件と呼ぶには大袈裟な悪意や人の卑しさを詰め込んだ、スカっとするようでイヤな汗が流れる短編集。~

《内容》 子持ちの若い女に夫を奪われた音楽教師。やがて新しい伴侶と恵まれた暮らしを送るようになった彼女の前に、忘れたはずの過去を窺わせる小説が現われる。ひとりの少女が、遠い日の自分を見つめていた―「小説のように」。死の床にある青年をめぐる、…

カステラ/パク・ミンギュ~なぜこの電車は、人生は、この世は、いつも揺れているんだろう~

《内容》 現代韓国文学の人気作家・パク・ミンギュのロングセラー短編小説集。洒脱な筆致とユーモアあふれる文体で、主人公の若者たちを取り巻く「就職難」「格差社会」「貧困の様相」etcを描きながら、彼ら彼女たちに向ける眼差しを通して、人間存在への確…

推し、燃ゆ/宇佐見りん~あたしというすべてを賭けて推しを推すとき、あたしはいつになく満ち足りている~

《内容》 推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った。 web.kawade.co.jp 「推し」という単語がよく聞かれるようになったのはいつからだろう?私にはピンとこないものですが、池袋あたりで同じ…

つみびと/山田 詠美~私の娘は、その頃、日本じゅうの人々から鬼と呼ばれていた。~

《内容》 灼熱の夏、彼女はなぜ幼な子二人を置き去りにしたのか。フィクションでしか書けない“現実”がある。虐げられる者たちの心理に深く分け入る迫真の長編小説。 この小説は、実際に起きた事件「大阪2児餓死事件」をモチーフにしています。同じくこの事件…

【映画】メランコリック~東大卒だが、一度も定職に就かずバイトだけやってきた30歳の男の次の仕事は殺し屋だった~

《内容》 名門大学を卒業後、うだつの上がらぬ生活を送っていた主人公・和彦。ある夜たまたま訪れた銭湯で高校の同級生・百合と出会ったのをきっかけに、その銭湯で働くこととなる。そして和彦は、その銭湯が閉店後の深夜、風呂場を「人を殺す場所」として貸…

【映画】ヘレディタリー継承~ガチなオカルトホラー、張り巡らされる教団の罠~

《内容》 グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。娘のアニーは夫・スティーブン、高校生の息子・ピーター、そして人付き合いが苦手な娘・チャーリーと共に家族を亡くした哀しみを乗り越えようとする。自分たちがエレンから忌まわしい“何か”を受け継いでいた…

【映画】ラ・ヨローナ~泣く女~/中南米に伝わる怪談。神も見捨てた悪霊との対決

《内容》 1970年代のロサンゼルス。不可解な死を遂げた子供の母親が、不吉な警告を発する。しかし、それを無視したソーシャルワーカーのアンナと彼女の子供たちは、ほどなくしてある女の“泣き声”を聞いてしまう―。その日を境に数々の恐ろしい現象に襲われる…

レンタルなんもしない人~なんもしないというかたたじっと見守る人~

《内容》 ただ1人分の人間の存在だけが必要なシーンで利用でき、ごく簡単なうけこたえ以外なんもしない―。そんな「レンタルなんもしない人」というサービスを始めた森山将太の元に大宮亜希から「東京最後の一日に付き合ってほしい」という依頼が舞い込む。亜…

【映画】人間失格 太宰治と3人の女たち~やさしさと弱さが人を傷つけ、人を惹きつける~

《内容》 天才作家・太宰治。身重の妻・美知子とふたりの子どもがいながら恋の噂が絶えず、自殺未遂を繰り返す。その破天荒な生き方で文壇から疎まれているが、ベストセラーを連発して時のスターとなっていた。太宰は、作家志望の静子の文才に惚れこんで激し…

【映画】こどもしょくどう~大人ができることしかしなかったら、子供はなにもできない~

《内容》 小学5年生の高野ユウトは、食堂を営む両親と妹と健やかな日々を過ごしていた。ある日、ユウトと幼馴染のタカシは河原で父親と車中生活をしている姉妹に出会った。“かわいそう”な姉妹の姿を見かねたユウトは、怪訝な顔をする両親に2人にも食事を出し…