深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

神さまを待っている/畑野 智美〜大卒の真面目なごく一般的な女性がどのようにしてホームレスになったのか〜

《内容》 誰にも「助けて」と言えない。圧倒的リアリティで描かれる貧困女子の現実。 貧困女子の話はなんと4年前に読んでいた。 www.xxxkazarea.com この記事を書いた4年前の7月は私も契約社員だった。更に本作の主人公の水越愛のように大卒でもなく高卒で、…

万事快調〈オール・グリーンズ〉/波木 銅〜現実に因果応報なんてないからさ、やり方次第で、応報される前に因果から逃げ切るのだって余裕!〜

《内容》 主人公は北関東の“クソ田舎”の工業高校に通う朴秀美。地元の閉塞感や機能不全を起こした家族に絶望し、ヒップホップとSF小説を心の逃げ場としていた彼女は、ある出来事を機に〈大麻の種〉を入手する。これがあれば今の状況から逃げ出せるかもしれな…

秘密/谷崎 潤一郎〜男であるときは、刺激に踊らされるが、女であるときは秘密そのものとなる。〜

《内容》 普通の刺激に慣れ切った私は、女装をして浅草の街中を歩くことに悦楽を覚え始める。だが、映画館の貴賓席で、かつて暫く関係を結んでいたT女と出会い――。秘されたものに魅了された男を描く「秘密」。 やっぱ谷崎潤一郎は面白いわ。 最後残酷だろwっ…

夜長姫と耳男/坂口安吾〜好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。〜

《内容》 長者の一粒種として慈しまれる夜長姫。黄金をしぼらせ、したたる露で産湯をつかわせたので、姫の身体は光りかがやき、黄金の香りがするといわれていた。飛騨随一の匠の弟子で、大きな耳を持つ耳男は、姫が十三歳の時、姫のために弥勒菩薩像を造るよ…