深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

書評

太陽と月に背いて~どこに行っても誰と居ても満たされない心~

≪内容≫ アルチュール・ランボーとポール・ヴェルレーヌ。19世紀フランス象徴主義を代表する詩人である二人が出会ったのは、1871年、ヴェルレーヌが27歳、ランボーが16歳のときだった。詩作による名声と若く美しい妻マチルドを手中にし、詩も世界も共に彼に微…

月と蟹/道尾 秀介~こんだけ誰も喋らないで悪意だけが積もっていく話ってある?~

≪内容≫ 直木賞受賞作。あの夏、海辺の町で少年は大人になる涙を知った孤独な子ども達が始めた願い事遊びはやがて切実な思いを帯びた儀式めいたものに――深い余韻が残る少年小説の傑作。海辺の町に祖父と母と暮らす小学生の慎一。よそ者として、クラスになじめ…

キャリー/スティーヴン・キング~人間はいつまでたってもよくはならない、ただ利口になるだけ~

≪内容≫ 「おまえは悪魔の申し子だよ」狂信的な母、スクールカーストの最下層…悲劇はその夜、訪れた。巨匠キングの鮮烈なるデビュー作にして、三度の映画化を経た永遠の名作。 この表紙はクロエ・モレッツだと思うんですが・・・こんな美少女がいじめられっこの…

桜の園・三人姉妹/チェーホフ~貴族って地味にスポイルされまくってるよな、と思う~

≪内容≫ 急変してゆく現実を理解せず華やかな昔の夢におぼれたため、先祖代々の土地を手放さざるを得なくなった、夕映えのごとく消えゆく貴族階級の哀愁を描いて、演劇における新生面の頂点を示す「桜の園」、単調な田舎の生活の中でモスクワに行くことを唯一…

スタンド・バイ・ミー/スティーヴン・キング~友達は、数ではなく、どこまで同じ苦しみなりなんなりを共闘できるか~

≪内容≫ 森の奥に子供の死体がある──噂を聞いた4人は死体探しの旅に出た。もう子供ではない、でもまだ大人にも成りきれない少年たちの冒険が終ったとき、彼らの無邪気な時代も終ったのだった……。誰もが経験する少年期特有の純粋な友情と涙を描く表題作は、作…

ポテト・スープが大好きな猫~口にするのは文句ばかりなんだけど相思相愛~

絵本です! なんか、あんまりかわいくってついつい買ってしまいました。 猫とおじいさん 猫と暮らすおじいさんのお話です。 テキサスで一人で暮らすおじいさんと、おじいさんが作るポテト・スープが好きで自分は一切狩りをしない雌猫。 おじいさんと猫は一緒…

マディソン郡の橋~初恋のときめきを永遠に閉じ込める方法は、成長した相手に再会しないこと~

≪内容≫ 屋根付きの橋を撮るため、アイオワ州の片田舎を訪れた写真家ロバート・キンケイドは、農家の主婦フランチェスカと出会う。漂泊の男と定住する女との4日間だけの恋。時間にしばられ、逆に時間を超えて成就した奇蹟的な愛―じわじわと感動の輪を広げ、シ…

悪童日記/アゴタ・クリストフ~生きるためにはいい子ちゃんではいられない~

≪内容≫ 戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開した。その日から、ぼくらの過酷な日々が始まった。人間の醜さや哀しさ、世の不条理―非情な現実を目にするたびに、ぼくらはそれを克明に日記にしるす。戦争が暗い影…

ジュリアス・シーザー/シェイクスピア~人はみんなずるいし汚いし完璧な人はいない~

≪内容≫ “おれはシーザーを愛さぬのではく、ローマを愛したのだ” 高潔な勇将ブルータスは、自らの政治の理想に忠実であろうとして、ローマの専制君主シーザーを元老院大広間で刺殺する。民衆はブルータスに拍手を送ったが、アントニーの民衆を巧みに誘導する…

機械じかけの猫/トリイ・ヘイデン~絨毯の下にいる幽霊は現実か妄想か~

≪内容≫ 自閉症と診断された九歳の少年コナーは、ぬいぐるみの猫を決して手放さず、奇妙な言葉をつぶやく。やがてその言葉は、彼の母親の恐ろしい過去を掘り起こしていく…圧倒的筆致で贈る驚愕の物語。 「ビューティフル・マインド」をすでに鑑賞済みだったこ…

ひまわりの森/トリイ・ヘイデン~正しいから愛するのではなく、ありのままを愛する難しさ~

≪内容≫ 少女時代のおぞましい体験によって心を蝕まれた母と、彼女を抱えて懸命に生きる家族の姿を、17歳の娘レスリーの目を通して感動的に描く。情緒障害児との心の交流を綴り、日本でも圧倒的な支持を集めているベストセラー作家が実話をもとに、愛と祈りを…

子どもたちは、いま/トリイ・ヘイデン、斎藤学~無言症の子供たちから教えられたこと~

≪内容≫ 情緒障害児との交流を綴り世界中を感動につつんだ作家と、家族や虐待の問題に第一線から発言しつづる精神科医がいじめ、教育、家庭などについて語りあった対談集。98年のヘイデン来日講演の内容も収録する。 トリイのノンフィクションものを全て読み…

檻のなかの子-憎悪にとらわれた少年の物語-/トリイ・ヘイデン~ほとんどの人が何で死ぬか知ってる?~

≪内容≫ 8年間、だれとも口をきかず、日中ずっと児童養護施設の机の下でおびえている15歳の恐怖症の少年ケヴィン。ひとたび恐怖心が爆発すると、猛獣のように暴れまわり、周囲や自分を傷つける。180センチほどもあるこの少年を、セラピストのトリイは心底、恐…

最悪なことリスト/トリイ・ヘイデン~起こってしまったことは選べないけど次に何をするかは選べる~

≪内容≫ 最悪なことリストの第一位って何だか知ってる?「気にかけてくれる人が誰もいない」ことだ。里親から里親へと転々としてきたデイヴィッドにはよくわかる。新しい里親に引き取られ、新しい学校に来てみれば、11歳だというのに下の学年に入れられて、級…

ヴィーナスという子-存在を忘れられた少女の物語-/トリイ・ヘイデン~人間は神にも仏にもなれないし、なったら友達は作れない~

≪内容≫ 心を閉ざした少女がただ一人頼りにしていたのは、知的障害をもつ姉だった。情緒障害児との心の交流を描き、世界中に感動を呼んだ著者が、福祉の連携の難しさ、教育の理念の実践の対立など、新たな問題に立ち向かう渾身のノンフィクション。 トリイが…

愛されない子-絶望したある生徒の物語-~欠点を超える美貌は果たして本人の助けとなるのか?~

≪内容≫ 抱きしめてほしい、クズのような私を-愛を受けずに育ったため、人づきあいができず、重度の情緒障害を抱える娘の愛し方も知らぬ母親。娘の通う教室の助手になり、トリイと共に親と子の問題に立ち向かい、模索する姿を綴る。 今回ももちろん子供たちと…

霧のなかの子-行き場を失った物語-/トリイ・ヘイデン~解決されない理不尽な出来事は大人になっても消えない。~

≪内容≫ 教師を辞め、無言症の専門家として病院のセラピストの仕事についたトリイは、謎めいた三人のケースに関わることになった。9歳のカサンドラには現実の存在とは思えぬ妖精のような雰囲気があった。虚ろな目つきをしたかと思うと、感情を爆発させて暴れ…

幽霊のような子-恐怖をかかえた少女の物語-/トリイ・ヘイデン~幽霊になっているときだけ、ほんものでいられるんだよ~

≪内容≫ 体をほとんど二つに折り曲げ上目づかいにこちらを見る姿が異様な、まるで幽霊のような8歳の少女ジェイディ。教師トリイとの交流で少しずつ心を開いた彼女が語り出したのは、陰惨な性的虐待をするカルト集団の存在だった。 事実は小説より奇なり。を地…

よその子-見放された子どもたちの物語-/トリイ・ヘイデン~そうしようと思えば、心の中でいつでも完璧に見えるんだよ~

≪内容≫ トリイの補習教室は、あらゆるクラスからはみ出した四人の子どもたちで大混乱。自閉症のブー、識字障害のロリ、粗暴なトマソ、うつ状態のクローディア。苛酷な運命から彼らを救おうと全精力を傾けるトリイに彼らはいう。「わたしたちみんな、どうせよ…

タイガーと呼ばれた子-愛に飢えたある少女の物語-/トリイ・ヘイデン~手放すということ~

≪内容≫ 『シーラという子』の続篇。「あんたは自分があたしの人生をよくしたと思ってるんでしょ?あんたのおかげでよけい悪くなったんだよ。うんとうんと、何百万倍も悪くなったんだよ!」情緒障害児教室の教師をやめてセラピストとなった著者トリイが目の前に…

シーラという子/トリイ・ヘイデン~永遠に一緒にいられなくても愛は続くかもしれない~

《内容》 お世辞にも清潔とはいえぬ姿に敵意むきだしの目。シーラは6歳にして傷害事件を起こし、トリイの特殊教室に送られてきた。決してしゃべろうとせず泣きもしない。ときに怒り狂い金切り声をあげ大暴れする。だが実は、ずばぬけた知能の持ち主で、心身…

ミレニアム⑤復讐の炎を吐く女~ミレニアムシリーズは個性というものがよく分かる~

≪内容≫ リスベットは人工知能研究の世界的権威バルデルの息子の命を救った。だが、そのときに取った行動が違法行為にあたるとされ、2カ月の懲役刑を受けた。彼女は最高の警備を誇る女子刑務所に収容されるが、そこではギャングの一員である囚人ベニートが、…

ミレニアム④蜘蛛の巣を払う女~憎み合う双子の姉妹と情熱を失ったジャーナリスト~

≪内容≫ 雑誌『ミレニアム』を発行するミカエルたちの会社は経営危機に陥り、株式の30パーセントを大手メディア企業のセルネル社に売り渡していた。ミカエルにも優れた記事がなく、時代遅れの記者との非難にさらされていた。そんな彼のもとに、ある男から大ス…

ミレニアム③眠れる女と狂卓の騎士~子供のときの受けた傷は大人になっても忘れないし、大人になって戦うこともできる~

≪内容≫ 宿敵ザラチェンコと対決したリスベットは、相手に重傷を負わせるが、自らも瀕死の状態に陥った。だが、二人とも病院に送られ、一命を取りとめる。この事件は、ザラチェンコと深い関係を持つ闇の組織・公安警察特別分析班の存在と、その秘密活動が明る…

ミレニアム②火と戯れる女~業火に焼かれて死ぬのは誰?~

≪内容≫ 女性調査員リスベットにたたきのめされた後見人のビュルマンは復讐を誓い、彼女を憎む人物に連絡を取る。そして彼女を拉致する計画が動き始めた。その頃ミカエルらはジャーナリストのダグと恋人ミアが進める人身売買と強制売春の調査をもとに、『ミレ…

ミレニアム①ドラゴン・タトゥーの女~他人の生き方を攻撃するのは、その人を傷付けるとても安易なやり方なんだ~

≪内容≫ 月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れた。そんな折り、大企業グループの前会長ヘンリックから依頼を受ける。およそ40年前、彼の一族が住む…

2018年に観た映画と読んだ本でおもしろかったやつ。

大体100本くらい見てました。 ショートムービーと劇場版含めて。 本はおおよそ70冊くらいでした。 今年観た中で書いて行きます! 映画部門/ナイス脚本 泣く男 発売日: 2016/07/02 メディア: Prime Video この商品を含むブログ (1件) を見る 【映画】泣く男~…

リトル・シスター/レイモンド・チャンドラー~どこまで行っても真実に出会えないことほど人を打ちのめすものはないのかもしれない。~

≪内容≫ 「行方不明の兄オリンを探してほしい」私立探偵フィリップ・マーロウの事務所を訪れたオーファメイと名乗る若い娘は、二十ドルを握りしめてそう告げた。マーロウは娘のいわくありげな態度に惹かれて依頼を引き受ける。しかし、調査をはじめた彼の行く…

高い窓/レイモンド・チャンドラー~ありもしない幸せ、ありもしない正義、それを求めて人は何度も過ちを犯す~

≪内容≫ 私立探偵フィリップ・マーロウは、裕福な老女エリザベス・マードックから、出奔した義理の娘リンダを探してほしいと依頼された。老女は、亡き夫が遺した貴重な金貨をリンダが持ち逃げしたと固く信じていたが、エリザベスの息子レスリー、秘書のマール…

水底の女/レイモンド・チャンドラー~男は女に、女は男に関していくらでも愚かしい間違いを犯すものである~

≪内容≫ 私立探偵フィリップ・マーロウは、香水会社の経営者ドレイス・キングズリーのオフィスを訪ねた。男と駆け落ちしたらしい妻の安否を確認してほしいとの依頼だった。妻の足取りを追って、湖の町に赴いたマーロウは、そこで別の女の死体を見つける。行方…