《内容》
世界の神話や昔話などの伝承、現代のフィクション作品に見られる、家をめぐる怖い話の数々。そこに「いる」のは、そして恐怖をもたらすのは、人々にとって家とは何なのか。好評既刊『怖い女』に続く、怪異の神話学。
家が怖いというより、その家に住んでいる人が怖い、と思っていたけれど、本書は家が持つ神話的ストーリーを書いていいます。
馴染み深い「ぼぎわんが、来る」や「黒い家」、天空の城ラピュタや呪怨、メリーさん、座敷童子などを例にあげているのでかなり入りやすい。
本当は怖い私たちの家
私たちが住む家には、過去がない場所などない。どんな場所にも、積み重ねられた過去がある。たとえ平地であっても山の中であってもそれは同じだ。私たちが家に住むというのは、過去のすべてを背負いながら、それと共に生きていくということなのだ。これは家という外殻の有無にもとらわれない。怪異は土地にも染み込み、新しく建てられた家にまた怪異を呼び起こす。私たちは、怪異から、それを含む過去から、どうあっても逃げられない。
いや怖すぎるだろww
この本小学生の頃に読んでたら泣きながら家に帰るパターンだわ。ぬ〜べ〜でも倒せないメリーさんの回か怪人Aの回を見た時のパターンだわ。
大人になる利点はそんなことより怖いことを経験するのでね、ほ〜ん、で?というむしろワクワクで読み進められることだ。
便所が境界だったり、家自体が子宮(母体)だったり、新しく誕生する(生まれ変わり)場所だったりする。
もしくは家自体が牢屋のような役割を果たし、霊を永遠に閉じ込めたりする。これは私の大好きなゴーストハントの最強怖い回を紹介していて楽しかった。
西洋の悪魔だったり、ゾンビは家に入るのに家人の承認が必要なのに対し、幽閉する場所としての家は、その家に入らない、もしくはその家を燃やすなどすれば良いのだ。
だが、幽閉された怪異は自由自在に家の中を駆け巡る。壁やドアなどは関係ない。家自体が一つの空間なので知らずにやってきた人間にはその家の中に隠れ家などないのだ。(絶望)
神話の見るなの法則や異界のもん食ったらやばい説など、なんとなく分かっていたことが解説されていたのでやっぱり!面白い!なるほど!と大半は思ったのだが、一番びっくりしたのは庭があの世だということ。
ニワ、庭では、時間という「死」そのものが排除されているのだという。そのような庭を擁することで日本の家屋は、あの世や神々の世界、すなわち「異界」を、生活のすぐ隣に位置づけているのだ。
そのほかにもラプンツェルや赤ずきん、浦島太郎、ハウルの動く城など誰もが知っている童話を引用した解説があり非常におもしろかったです。
こりゃあ怖い女も面白そうだ。