《内容》
主人公は北関東の“クソ田舎”の工業高校に通う朴秀美。
地元の閉塞感や機能不全を起こした家族に絶望し、ヒップホップとSF小説を心の逃げ場としていた彼女は、
ある出来事を機に〈大麻の種〉を入手する。これがあれば今の状況から逃げ出せるかもしれない――。
そう考えた朴は似たような境遇のクラスメイトたちと、学校の屋上で大麻を育て売り捌く計画を始める。
はじめは順調に思えた彼女たちの“ビジネス”だが、危険は静かに迫り――。
若さの衝動とセンス溢れるユーモアが炸裂する、青春小説の新たなマスターピースが爆誕!
なんかIWGPを彷彿させる青春小説って感じです。
映画になりそう。
クソ田舎×ラップ×暴力×ドラッグ!
「この町……町じゃねぇな。村。どう思う?」
「どう思うって?」
「つまり、朴秀実はこの村、好き?ずっと住みたいって思う?」
「はぁ?バ、バカにすんな。そんなわけないじゃん」
掃き溜めだろうが!朴は苛立ちを隠さずに答える。こんな村に住み続けることを良しとする人間に見える?見えるんだろうな!この村に未来なんてない。なにかが減ることはあっても、これ以上増えることはない。
主人公の朴秀実は工業高校の一年生。三十人のクラスメイトの中で女子は朴と目つきも性格も人当たりも頭も悪いイワクマコ、陸上部の優秀な選手かつ学業成績も上位の谷口美流紅の三人だけ。
いわゆる一軍の矢口とは雰囲気も違う朴とイワクマコはクラスの隅でひっそりとしているパッとしない下級グループだ。
だが、朴にはもう一つの顔がある。ラッパー・ニューロマンサーという顔が。
このクソ田舎から脱出すべく、ラッパー仲間に紹介された有名ラッパー・佐藤の家にいくと、そこはもうキナ臭え匂いが漂ってる。1回目の罠は華麗に回避したものの、ニューロは佐藤に一服盛られてしまう。
クスリでキマった世界の中でも手放さなかったのは、このクソ田舎から脱出するための資金。金じゃない。草の種。金のなる種だった。
現状から脱出するためにはなにか、デカい「イベント」を経験しないといけない。そういうのが必要だと思っていた。無理矢理にでも変化を起こさなきゃ、私は一生このままだ。バカの集まりの中のちょっとイケてるやつ、という立ち位置をキープしたまま高校を卒業し、良ければ自宅から通える範囲の短大に進学。悪ければ、近所の工場に就職。最悪のパターンは、本格的に精神を病むようになって身の回りの自己管理もままならなくなった母親の介護をしながら最寄りの『イオン』でパート暮らし。そのどれにせよ、高校の友達とずっとつるみ続け、地元で生涯を終えるだろう。
小指を飛ばした矢口はそのビッグイベントを盾に陸上部の顧問に退部を申し出る。そして朴と一緒に金になる草を育て始めるが、そのチームにイワクマコも入り、さらに化学部を巻き込んで、さらにさらにボーイズカップルも巻き込んでどんどん大きなチームとなっていく・・・
「現実に因果応報なんてないからさ。そんなもんクソだ。やり方次第で、応報される前に因果から逃げ切るのだって余裕!」
めっちゃかっけえ女子高生三人組。