《内容》
累計40万部を突破した言葉シリーズ最新刊!
孤独の人、サガンの言葉とは。その繊細で、愛と知性に満ちた人生を辿る。
「人は孤独の中で生まれ、孤独の中で死んでいくのです。」
「悲しみよ、こんにちは」でやられてしまった私。
優しい人にめっぽう弱いんですよね。
知性と孤独
サガンが敬愛する文学者サルトルに対して感じていたように、本物の知性の人は、相手にけっして劣等感をいだかせないということ。これはサガンの言う「やさしさ」にも通じます。
「悲しみよ、こんにちは」では、主人公のセシルがアンヌに対して「私のことをばかみたいに接する」と感じます。アンヌはセシルに対して劣等感を抱かせるのです。
アンヌは一般的には知性の人です。教養があって育ちが良い。むこうみずなセシルとセシルの父親とは大違いなのです。
ですが、サガンは本物の知性の人は、相手にけっして劣等感をいだかせない人と言う。アンヌは教養があって育ちも良いですが、本物の知性の人ではないということですね。
でも、本物の知性の人ではないからといってアンヌが悪人だとかそういうわけではありません。
私の本のなかには悪人も善人もいません。とにかく私にとってはどんな人も脆くて弱いのです。
この通り、アンヌは悪人でも善人でもなくて、脆くて弱いのです。見るからに脆くて弱いセシルとは違い、アンヌはなんでも持っていて一人で生きていけそうに見える。でも、本当は脆くて弱かった、それが「悲しみよ、こんにちは」でも描かれています。
恋愛とは、まずは自分を語りたいという欲求であり、自分が存在していること、しかも魅力的に存在していることを、他人の視線のなかに認めたいという欲求なのです。
えっこれじゃん。
と思いましたね。自分の目には自分の姿映せないからね。自分を見たかったら他人の目を借りるしかない。作家さんの表現力ってどうやったら身につくんだろう。これだよ、これ。
岡本太郎の「自分の中に毒を持て」の次に人生に迷ったり自分の生き方を否定しそうな時に読み返しそう。
素敵な大人になりたい。