≪内容≫
下関。潮の香りと退廃した雰囲気の漂うこの街で、グーは暮らしていた。外国人・警察・ヤクザ、顔は広いが誰ともつるまないグーだったが、後輩の辰が起こした事件をきっかけに暴力の連鎖に巻き込まれていく…。
何一つ知らないけれど、「ハードロマンチッカー」という言葉とパケ写に惹かれて。「 ニューロマンサー」ばりにタイトルが美しい。
行き場のない心
こういう若者の不良?的なお話が大好きなんですが、たぶんこの暴力的な画にどこか美しさを感じてしまうからなんだろうな、と自己分析しています。
主人公の松田翔太演じるグーは、顔は広いけれど誰ともつるまず、ひょうひょうとした雰囲気の持ち主。
だが、後輩にあたる辰が起こした殺人事件によって警察にマークされてしまう。グーは事件について聞き取りを行っていく内に、否応なしに人の波に呑まれていく・・・。
この話の内容と、主人公のグーについて、それから当時の下関も今の九州地方にも詳しくない私は、彼らの心情やグーについて想像するしかない。
グーは色んな不良の家に出入りするが、そこではもちろん下品なことや、女性を無理やり組み敷いてしまうシーンもある。クスリや裸の女体映像がたっぷりなこの映画で、グーの一目ぼれした少女をスクーターで家まで送るシーンはピュア度1000%である。
自分はそういう男女を見てきて、自分も彼らと同じ場所に立っているのに、自分と自分が好きになった少女は奴らとは違うと思っている(と思う)グーだったが、少女は買春容疑で逮捕されてしまう。
友達は事故死、慕っていた人間は愛をグーに預けたまま、愛してる人に殺された。グーは買春していた少女に怒りを抑えきれず彼女を犯してしまう。
グーが人とつるまないのは、こういう風に失ってしまうことや傷付けてしまうことを避けてだったのではないかと思います。結局、グーが足を踏み入れる結果となった後輩も死んでしまいますし。
誰かのために動いて、それがほんとうに誰かを救えたり何かが実るなら、それは自分にも相手にも大きなプラスになるし美しい思い出になるけれど、それが失い傷付くことを目撃することになるなら、それほど苦しいことはない。
グーは苦しいだろうけど、第三者からするとそれが実ろうが実るまいが、その行いはめちゃくちゃ美しく映るんですよね。罪は美しくないけれど、苦しみは美しさを放つ。