深夜図書

不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

何者/朝井リョウ~人は皆罪人だから大丈夫~

≪内容≫

「あんた、本当は私のこと笑ってるんでしょ」就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす、書下ろし長編小説。

 

 

16/10/15にロードショー。しかも豪華すぎるキャスト!!!・・・で話題の「何者」。

桐島、部活やめるってよ」も映画化されたし、気になっていた作品。

ajyuread.hatenablog.com

 

これは多分1時間半位で読めました。

内容が現代モノなのでスラスラーと読めちゃいます。

面白さでいうと「これマジなん?」という感じです。

というのも、レビューとか見ると「リアル」とか「分かる」という言葉がちらほらあったので。

私はこういう就職活動ってした事がないし、大学に行った事がないので「えっ就職活動ってこんなドロドロなの!?」というのが素直な感想です・・・。

 

登場人物

  • 二宮拓人・・・分析男子。演劇が好き。裏アカで友達批判。裏アカ名「何者」。
  • 光太郎・・・バンドのヴォーカル。明るく健康的な男子。空気の読める男。
  • 宮本隆良・・・就活する皆をバカにしておきながら自分も影では就活。
  • 烏丸ギンジ・・・かつて拓人と劇団を夢見た同士。大学を辞め劇団で生きてく覚悟。
  • サワ先輩・・・拓人の先輩。拓人の心許せる存在。
  • 小林理香・・・隆良の恋人。肩書きで勝負する女子。拓人を批判。
  • 田名部瑞月・・・精神の弱い母の為、誰よりも早く大人になる。光太郎の元恋人。

映画のパッケージではギンジが出てませんが、確かに小説もギンジの話はたくさん出てきても本人は出てきません。桐島って感じですかね。

 

一応、二宮拓人、光太郎、小林理香、田名部瑞月がメインの就活生です。

その中で一番に内定を取ったのが田名部瑞月。

次に取ったのが光太郎。

内定を取れなかった二宮拓人と小林理香は仲違い。

しかし、拓人はかっこ悪い自分と向き合い前進していることを示し本書は終了。

 

なぜ、二宮拓人と小林理香は内定を貰えなかったのか

この二人には他人に視点を当てることで自分の問題から逃げるという共通点があります。

 拓人はギンジが演劇だけで生きていくという選択が間違っていて、自分の就職するという選択を正しいと思っています。

けれど、自分が思う正しいだけじゃ不安なので他人がギンジの舞台を批判している掲示板を見て正しさを確かめています。

そして、光太郎が就職する会社の評価を検索したり、隆良の裏アカを探してチェックしたり。皆のツイッターを欠かさずチェック。

理香は、自分の名刺を作ったり面接する会社の先輩にツイッターでメッセージ送ったり、一生懸命自分をアピールしています。

けれども、瑞月の内定に対し「おめでとう」とは裏腹に小さな嫌味を言ったり、会社の評価を検索したり。

そして拓人の裏アカを発見し、観察していたり。

他人の理想を追いかける故に空っぽな二人。

 

苦しい。この二人は読んでてとても苦しいし、痛い。

その痛々しさが面接にも表れているのでは?というのが私が思った不合格の理由です。

 

光太郎と瑞月には「自分の目的」があります。

光太郎は忘れられない人に会いたいという目的。

瑞月には母を支えるという目的。

目的は覚悟に変わり、強さになっていきます。

強さとは、どれだけ自分と向き合えるかということだと思っているので現実と向き合い、文句を言いながらちゃんとやるべき事はこなしている二人は魅力的だし、人間臭くて好意が持てます。

あと光太郎には純粋に「人を喜ばせたい」という性質があって、これは面接官を笑わせたいという事に繋がっています。本人も「就活が得意」と言ってますが、こうゆう人は何したって上手く行きます。

「人を喜ばせたい」が根底にある人はどんなにネガティブだろうが魅力的なのです。

なぜなら、こうゆう人はオートで他人の感情を察知しているからです。

なので、その人に合わせた人になれる。それも自分の無理のない範囲で。他人との距離感を掴むのが上手いんですね。

 

何者とは

OL、サラリーマン、小説家、アーティスト、コラムニスト、評論家、実業家・・・職業はあなた自身ではありません。

なので、あなたが何かお金になる事をしてもあなたが変わってしまう事はないのです。

私は一般的に言えばOL・・・会社で働いてるのでオフィスレディとも言えますし、電話を取ってるのでコールレディとも言えます。

けれど、「あなたってどうゆう人なの?」と聞かれた時に「OLです!」とは言わないと思うのです。

「私は、音楽を創るのも聞くのも好きで後は読書も好き。」

と言うと思う。

どんな大手企業に就職したとか、華やかな職種についたとか、それで自分の評価が上がると思っている人はとても辛いと思う。

自分の評価を他人に委ねるのは、何も見えない闇の中をひたすら歩いてるのと同じ。

「あなたってどうゆう人なの?」と聞かれた時に自分の言葉で自分を語れない人は信用するのに時間がかかる。

単純な答えでいいんです。「映画が好き!」「海外で色んな人と話すのが好き!」「カフェでひたすら人間観察してる!」「最近はズボラ飯にハマってる」とか。

奇抜な答えも他人の答えもいりません。必要なのは純粋に答えてるかどうか。

本質は内容じゃなくて、その人の姿勢。

その人が自分に対して純粋に向き合ってくれているかどうか。

 

お見合いパーティで「年収いくらで、職種はこれで、趣味はこれで・・・」っていきなり言われたら純粋にその人をそうゆう目でしか見ない人間って思われてるのと一緒だし、「年収いくらですか?職種は?趣味は?」とか聞かれたらそこにしか価値を見出せない人なんだなと思う。

 

人は皆罪人だからOK

最後に理香が拓人に、「私達は何者にもなれない、かっこ悪い自分のままあがくしかないんだよ」と言ってますがどこがかっこ悪いんだろう?と思ってます。

じゃあかっこいい人間って誰だよって思うし、そりゃ人の成功を妬んだり羨んだりするのはイイ事ではないかもしれないけど、それで悔しいとかなにくそっと思うならそれはそれでいーじゃんって思います。

なにがかっこ悪いかってそんな自分をかっこ悪いからって見ないフリする事なんだから今の理香はまぁ言い過ぎだけど一番素直で好感持てるよーって感じです。

 

他人って上手くいってるように見えます。

だから「自分だけがどうして?」と悲観的になる時だってあります。

でも、基本みんな罪人だから。(人間が作った法の罪とは別)

清く明るく正しく生きてるあの人だって、有名社長のあの人だってみーんな罪人だから!

私は無宗教ですがイベント豊富な日本で育っているので、都合のいい所だけ切り取って生きています。笑

なので、あの・・・キリスト教の詳しい事とかはわからないけど、困った時に「神様なんとかしてくれ~!」と思ったりするので一応みんな神の子って事で!

 

自分と向き合って一生懸命生きて、どーしても人を羨んだりしてしまう時、そんな自分を許せない時は「でも、アイツも自分と同じ罪人だからOK!」と思って気楽に生きていくというのはいかがでしょうか。

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)