≪内容≫
天才芸術家、岡本太郎とそのパートナー岡本敏子。二人が遺した、激しく熱く純粋な、男が男のまま、女が女のまま、愛するためのメッセージ。
愛ってなんだと思う?と親友に聞いたらこの本を薦められました。
敏子さんは、秘書ののち太郎氏の養子となりました。
いわゆる"妻"という肩書はないのだけれど、実際は妻のような存在であったそうです。
夫婦にこだわらない。"パートナー"という関係性。
世間は"結婚しない人"を問題視するけれど、"夫婦"っていう型に収まらなければ愛が証明できない証拠なんてどこにもないのに。
結婚商法なんじゃないかと思えてしょうがないです。
つらぬく
本当に一度でも、
人生で心の触れ合った人間がいたら、
そのために死んでもいい。
涙が出そうになる。
「君のためなら死ねるよ!」みたいな言葉がとても陳腐に聞こえてしまうのに、この言葉にはすごく太郎氏の真剣を感じる。
それだけ、心が触れ合うって奇跡みたいなことなんですよね。
お互い知らないことが多いほど歩み寄ろうとして、分かり合おうとする。
恋人になって時間が経つと分かり合えない事実が苦痛になってくる。
恋人だろうが家族だろうが他人である以上分かり合えることなんて絶対にないってことが認められなくなってくる。
「こんなに愛しているのに・・・」と悲観的になったり、相手を責めたり自分を責めたりする。
子宮から出た瞬間に私たちは絶対に孤独なんです。ぼっちなの、誰しもが。
誰もが孤独を抱えて生きている。
だからこそ、もし心が触れ合えたら、その喜びはほんとうに「死んでもいい」と言うだけの純真さがあると思う。
なんで孤独っていうとてつもない寂しさを背負って生まれなきゃいけなかったのかって、その喜びに出会う為なんじゃないかとも思うのです。
私たちは出会いと別れをくり返す。
その度に心から触手を伸ばして触れ合おうとしているんだと思う。
手を伸ばすことあきらめたら寂しさに潰されてしまうから。
時に落ち込んだり、誰の声にも耳を閉ざしてしまっても、喜びを目指して生きていきたいと思う。
はぐくむ
女は男によってひらかれる。それが私の実感。
戦友だからね
塹壕の中に一緒に身をひそめて、
そら出るぞって、パっと飛び出す。
しょげたり、がっかりしている暇なんてないのよ。
戦争なんだから。
戦闘には向いていないけれども、
受け入れたり、耐えたり、いたわることには、
広いキャパシティを持っている。
それが女よ。
戦っている男、
あるいは戦場に出て行こうとしている男こそ、
最高に色っぽいのだ。
敏子さんの言葉。
つい最近、恋愛について恋人というか戦友みたいなものが欲しい・・・と書いたんです。
だからとってもびっくりしました。
敏子さんは男に必要なのは"色気"と書いているんですがね、ちょっと挿絵のこの写真を見てもらいたいんですがね
お腹!お腹出てる!これ何歳か知らないけど、いわゆるおっさん腹です。
なのに、とんでもなく色気が感じられませんか?
もう超・かっこいいんですけど。
例え、どんなにおじいちゃんだろうが写真の太郎氏のような姿を見たらときめかずにいられない。
髪も薄くなり体型も崩れ、美からは遠ざかっている筈なのにうっすらしか見えていない片眼と尖った唇が表す太郎氏の真摯な姿が猛烈に色っぽい。
色気とはまさにこのこと。
そして、"女"とは夫の上司や友達に愛想よく付き合えて料理が上手で相手のためにと尽くすことじゃない。
いざってときにひるまずに相手と走り出せるだけの負けん気の強さ、ときに立ち止まる男の手を引ける芯の強さ、どんな罪もいたわってしまう愚かさ、そういうものが"女"だと思うのだ。
人生は戦争。
それを生き抜くのに、どちらかがどちらかに頼り切っては船は沈むのみ。
心身ともに健康で病気をしない程度に清潔で生きていけるだけのお金を稼ぐこと。
それをお互いがすればいいだけのこと。
恋愛になにを求めてる?
相手になにを望んでる?
それは本当に"愛"なのか。
ぶつかる
異性を恐れぬこと、
そして謎を解くこと、
それが人生の深みに入る第一歩だ。
異性を恐れぬこと。
これめっちゃ難しい。
最近思うんですが、文豪ってめっちゃ恋多いですよね。
それってやはり人生の深みに必要だということを直感で分かっているからなのでしょうか。
あれだけ人間の業について頭を悩ませていたら人間不信に陥りそうなものですが、それでも更に深みに入るため、逃げずに戦い続けることを選んだのかな・・・と思います。
私は逃げて逃げてほんとうに逃げてばっかりです。
傷付くのがいや。これが一番なんだろうと思います。
ついてしまった逃げグセは簡単には治らないと思うけど、逃げずに戦いたいなぁって思います。
死ぬまでに立ち向かえるかな?と自信はまったくないですが、本当に気が重いけどやっぱ人生は深く、とんでもなく深く生きていきたいと思うのでした。
これ多分、私の死ぬまでのテーマだと思う。