深夜図書

不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

ツナグ/辻村深月~もしも死んだ人に会えるなら~

≪内容≫

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。

 

・アイドルの心得

・長男の心得

・親友の心得

・待ち人の心得

・使者の心得

の5章からなる本編。

 

ドキドキしてページがスラスラと進んで行きます。

辻村深月さんの作品ってまだ3作品くらいしか読んでいないんですが、女性が結構くせ者なんですよね笑

結構ドロドロな感じで・・・。

今回も親友の心得で出てきます。

 

死者ともし一度会えるなら・・・私はどうするかなぁ。

 

 

 

親友の心得

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亡くなった親友の御園に会うために使者に依頼した嵐。

二人は同じ演劇部で主人公を競いあい、御園が選ばれた。

いつも一番じゃないと気に入らない嵐は御園とこの件のあと険悪になったまま御園は事故で死んでしまう。

しかし事故前夜、嵐は事故にあった坂道にある水道の水を出しっぱなしにしたのだ。

その水が凍り、危ないと御園と話していたのに。

御園がケガをすればいいと、そうすれば自分が主役を演じられると、そんな悪意を込めて。

そしてその翌日、彼女はその坂で命を落としたのだ。

もし、私が今日きちんと自分がしたことを告げて謝れば、彼女は多分、伝言を使わなかった。アユミくんの胸に言葉を預けっぱなしにして、私たちは、互いに、気まずくなっても険悪になっても、最後に「親友」同士の話し合いができたかもしれない。

真意を互いに明らかにして、誤解を解き、謝罪をし、別れることができた。元通りになることは無理かもしれなくても、きっと最後に、短い間であっても親友に戻れた。

せっかくの機会を、私は自分から放棄したのだ。

今回の中で一番若い依頼主。

高校二年生。

「若いなぁ」と思いました。

この若さで、自分の醜いところを曝け出すのはすごく難しいことと思う。

彼女が出しっぱなしにした水は誰かの手によって止められ、道は凍っていなかった。

物理的に彼女のせいではないが、彼女の悪意は確実にあった。

彼女は告白しようと思ったが、自分だけがすっきりして相手に嫌な思いをさせてしまうと思い打ち明けなかった。

しかし、この選択は御園は望んでいなかった。

 

これが、ただの友人なら話は別だった気がする。

でも「親友」と呼べる仲ならば。嵐の思う親友と御園の思う親友は遠く離れていた。

嵐はとんでもなく自己中なんですが、高校生までならこういう子はたくさんいると思います。

だからこそ嵐を責める気にはなれないんですが、御園の気持ちもわかります。

彼女は死者でもう二度とアユミくんを見ることも話すことも出来ない。

それなのに、自分の言葉を奪った嵐。

嵐にとっては日常の振舞いだとしても、御園にとっては耐えられなかった。

 

でも耐える必要はないし、そこで嵐を縛ったとしてもいいと思いました。

御園だけが受け入れるだけでは一方通行で、親友ではないから。

まだ未熟なまま別れることになってしまった二人はとても切なかった。

 

人がある程度出来るまでには時間が必要。

それは人によって差があるけど、若さゆえはいい方にだけ転ぶほどやさしくはない。

 

 

 

待ち人の心得

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日向キラリという女性と付き合っていた土谷。

結婚しようと指輪まで渡したが消えてしまった。

死んでいるのか、どこかで生きているのかもわからない。

失踪して七年。彼女は事故で亡くなっていた。

土谷の元へ情報が入らなかったのは、彼女の本名が「鍬本輝子」だったからだ。

・・・ルール違反だろうけど、教える。あの人も、あんたに会うかどうか、迷ってた。会えば、あんたの中で確実に自分は死んだことになる。あんたにずっと忘れないで、好きでいて欲しいって思うけど、会うことにするって言ってた。会ったことで忘れられてもかまわないから、それでも会いたい。七年、あんたが自分を待ってた話を聞いて、あの人もそう決めたんだ。あんたに先に進んで欲しいって。-つらいのは、向こうだって一緒なんだ

使者に依頼しなければ彼女はどこかで生きていると信じていられた。

依頼してしまったばかりに彼女はもうどこにもいないという現実が突きつけられてしまった。

 

キラリは土谷に大事なものいれがある場所を教えた。

すぐに帰るつもりだったから手紙とか何も残してなくてごめんと謝った。

しかし、彼女の大事なものいれに入っていたものは、土谷も見覚えのある二人の思い出のものだった。

 

 

一番好きなお話です。

彼女がどこかで生きていると信じていても前に進めなかった土谷。

しかし彼女の死を理解し、彼女と再び会い、前に進むことを決めた。

使者はこういう人のために必要なんだなと心底思うお話。

 

 

 

使者ーツナグー

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もし、死んだ人間に会えるかもしれないとなったら。

私はどうするかな。

今のところ特にはないけど、両親や姉がいなくなったら考えるだろうな。

親友は・・・親友の家族とかに譲ろう。

そうなると姉も・・・姪っ子に譲った方がいいな。

 

言いたいことは言っておこう。

そう思う内容でした。

言えなかったことを言うために、または真実を確かめるために依頼する。

使者である歩美も両親の事故死に関して確かめることは出来た。

だけど、そのことを自分なりの解釈で自分を信じて受け入れたのだ。

 

相手が目の前にいる時に言いたいことも、ケンカしたいことも、確かめたいことも、ちゃんと大事にする。

後悔をしない生き方をしたいと思う。

もし事故でいきなり死んでしまったとしても、謝りそびれた人がいませんように。

親がいきなり死んでしまっても、本当は言いたかった言葉っていうのがありませんように。

親友とケンカしても、その日の内にごめんねと言えますように。

 

日々を常に大切に。

自分も自分の大切な人も大切に。

そうやって生きていこうと思いました。 

ツナグ (新潮文庫)

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