深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】マイ・ブロークン・マリコ〜死んだ人に会うためには生きていなくてはいけない〜

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《内容》

ある日、ブラック企業勤めのシイノトモヨ(永野芽郁)を襲った衝撃的な事件。それは、親友のイカガワマリコ(奈緒)がマンションから転落死したという報せだった――。彼女の死を受け入れられないまま茫然自失するシイノだったが、大切なダチの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、居ても立っても居られず行動を開始。包丁を片手に単身“敵地”へと乗り込み、マリコの遺骨を奪取する。幼い頃から父親や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けた親友に自分ができることはないのか…。シイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れていくことだった。道中で出会った男・マキオ(窪田正孝)も巻き込み、最初で最後の“二人旅”がいま、始まる。

 

キタ!

私のすきなタイプのやつ!!

なんとなく、砂糖菓子の弾丸のその後感がある。

私の壊れたマリコ。私の壊れた藻屑。

砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けないの記事を読む。

 

死んだ人に会うためには生きていなくてはいけない

 

高校生の時実の娘を強姦したてめえに
中学生だった実の娘を奴隷扱いしやがったてめえに
小学生だった実の娘から母親を奪ったてめえ

 

てめえに
てめえに弔われるなんて白々しくて反吐がでんだよ

 

 主人公はシイノトモヨ(永野芽郁)ことシイちゃん親友のイカガワマリコ(奈緒)ことマリコがマンションから転落死したというのをテレビのニュースで知る。マリコの家庭環境を知っているシイノは、マリコの遺骨がマリコを壊した毒親の手に渡ったことを知り、マリコの遺骨を強奪する。

 

 マリコを壊しておきながら死を悼む父親にナイフをつきつけてマンションから飛び降りたシイノはマリコが行きたがっていた海へ一緒に向かうのだった。

 

見つからないの
見当たらないの
分からないの

 

シイちゃんがいる
ってことしか
あたしに実感できることってないの

 

 マリコにはまともな彼氏ができない。シイノに彼氏ができたら死ぬっていってシイノの目の前でリストカットする。なのに彼氏ができた途端に連絡が減る。

 

 シイノはそんなマリコを面倒に思っていた。なのに、マリコが死んだあとは、マリコの寂し気な顔やシイちゃん、と笑顔で自分を呼ぶマリコ、幸せになれないのだと諦めているマリコの姿だけが浮かんでくる。

 

 たとえ面倒でも、不安定でも、友達だった。大切な私の、マリコだった。

 

あたしはまだあんたに言いたいことこんなにあんのに
あたしがまだここにいんのに
あんたはあたしを置いて行っても何も感じないわけ?


ねえ


死んでちゃ分かんないだろ

 

 

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 これは自分に依存してくる友達を救いきれなかったシイノが彼女の遺骨とともに旅をし彼女との思い出を振り返る物語で、答えや正解はありません。マリコはシイちゃんシイちゃんとは言うけれど、本当に辛いことを人に伝えることが難しかったんじゃないかな、と思う。自分でも自分がどうしてうまくいかないのか分からない、という感じに見えました。私がもしシイノの立場だったら同じように悔しいと思う。心からマリコを愛してくれる人とマリコが出会ってマリコが平和で安心な場所で過ごせる未来を自分が手助けしたいと思っていたと思う。

 しょうがないのだけど、こればかりは悔しいなぁ、、、と思う映画でした。