深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

書評-哲学

悪人/吉田修一~信じてくれる人がいると思えれば人は素直になれる~

≪内容≫ 土木作業員の清水祐一は、恋人も友人もなく、祖父母の面倒をみながら暮らしていた。馬込光代は、妹と2人で暮らすアパートと職場の往復だけの退屈な毎日を送っていた。孤独な魂を抱えた2人は偶然出会い、刹那的な愛にその身を焦がす。しかし、祐一は連…

怒り/吉田修一~悪人と同じくどうにもならない悲しみややるせなさとともに信じるという本質を問う話~

≪内容≫ 殺人事件から1年後の夏。房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。それぞれに前歴不詳の3人の男…。惨殺現場に残さ…

ヘヴン/川上未映子~何を持って善とするか何を持って悪とするか、自分の言葉で伝えられますか~

≪内容≫ <わたしたちは仲間です>――十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える<僕>は、差出人不明の手紙を受け取る。苛められる者同士が育んだ密やかで無垢な関係はしかし、奇妙に変容していく。葛藤の末に選んだ世界で、僕が見たものとは。善悪や強弱といった…