≪内容≫
飲酒で高校を退学処分。水商売でアルバイト。離婚したのち、ガンを患った元夫の最期を看取る―。「おカネ」「男と女」から「ビジネス」「家族」「トラブル解決法」まで、波瀾万丈の人生で培った処世術を伝授する。
西原理恵子さんすっごい好きです。
好きになったきっかけは映画「パーマネント野ばら」を観て。
あと、「女の子ものがたり」とかね。
どちらも女の子たちのお話です。
男も出てくるけど、世の中には女がいれば男もいるから男も出てくる程度の役割です。
どちらも女がどうやって生きてくのか。
理不尽も悲しみも暴力もやるせなさも呑み込んで生きていく女達。
何が好きってね、出てくる女の子達みんなどっかしらおかしいんですよ。
でも、それでいいじゃんって、そういう生き方しか出来ないってわかってるからそんな私でいいじゃんって生きてるんです。
「こうしたら幸せになれる」とかそういう変化を促す話じゃない。
シンプルに女が生きるってことを書いています。
男性は観てどう思うかわかりませんが、女の子は何かしら感じるものがあると思います。
西原理恵子というお母ちゃん
高知県出身の西原さん。高知の女性は はちきん というらしい。
はちきん
はちきんとは、「男勝りの女性」を指す土佐弁。ならびに高知県女性の県民性を表した言葉である。
話し方や行動などがはっきりしており快活、気のいい性格で負けん気が強いが、一本調子でおだてに弱いといわれる。
後ろを振り返ることなく前進し続けるといった頑固さや行動力あふれる点で、土佐の男性と共通する(Wikipedia参照)
西原さんといえば高須クリニックの院長とお付き合いしてることでも有名です。
みんないつも怒ってた。男と別れて仲居さんになったり、ホステスさんになったり。それで女の人はみんな殴られてた。で、殴られてる女が褒められた。「我慢強い」「偉い」っていって。「あんな難しい男についていったあんたのお母さんは偉かったで」って。
殴られたお母さんって子供を本気で怒るんですよ。ものすごい怖い声で怒るの。私も将来子供が3人くらいできて、やっすいアパートで洗濯機回しながら、そんな女になって、旦那に殴られるんだなーって思ったの。
このエピソードは「女の子ものがたり」で登場します。
西原さんの物語って半分自伝みたいなものな気がします。
だからかな、リアリティというか胸に迫るものがある。
作品の中の女の子は誰も男に頼っていないんです。
好きだから殴られても一緒にいる。
でも頼ってはいない。自分が働いて、支えている。
だからこそ、この「生きる悪知恵」愛情がたっぷりなんです。
口は悪いけど・・・笑
頼まれるとイヤと言えない自分がイヤ
絶対無理な事じゃなくて、ちょっと自分が頑張っちゃえば出来るかも?な事を頼まれると断れない(ウソついて断るとか出来ない)という相談。
この悩みすごく分かります。
とにかく「頼むよ」とか「お願い」とか言われると弱い。
そして、そのあと自分が傷付く。
という無限ループ。
地味に辛い!
西原先生のコメントはこうです。
本当に100万円貸しちゃったり、連帯保証人になっちゃったりするとまずいけど、ちょっとしたことで他人に手を貸してあげられるというのは、あなたのいいところだと思う。「情けは人のためならず」じゃないけど、功徳を積んだと思えばいい。
(中略)
たとえば「5万貸して」って言われたら「オレも厳しくて、今これだけしかないんだ」って2万5000円だけ貸す。
貸さないと悪い気がするけど、とりあえず半額に値切る。
そしたらなんか2万5000円儲かったような気になるし、精神的にも経済的にも楽。もし返してもらえなくても、5万のところが半分で済んでよかったじゃん、という。
相手にウソがつけないなら自分で自分をダマしましょう。
なるほど。
相手にウソつくとすっごい罪悪感があるんですよね。
だから、結局断ろうが、断らなかろうが傷付く。
それだったら自分で「助けたいけど自分には無理なんだ・・・!」とダマすが吉と。
こういう事、自分で気付いてやるとすっごい自分イヤな奴とか思う。
だから、こういう風に言ってくれる人がいるとすっごい楽。
分かってるけど出来ないの背中を押してくれる。
小柄で華奢だった妻が太り続けていく
5年前に結婚した妻が太り続けているとの悩み。
小柄で華奢なところが可愛かったのに・・・
妊娠・出産を経て太るのはある程度しょうがないと理解はするものの、もうちょっと痩せてほしいとのこと。
西原先生のコメントはこうです。
奥さんにきれいでいてほしいと言うなら、お互いがお金を稼がなきゃいけない。経済力なんですよ、女房を美しくするのは。
それもないのに一方的に「太って困る」と言ってもダメ。
(中略)
とにかく貧乏は太るんです。
アメリカだって太ってるのは貧困層でしょ。
ベトナムには「娘を太らせるのは母親の恥」っていう言葉があるんですけど、それと一緒で「嫁を太らせてるのは夫の恥」なんです。
奥さんにやせてほしいなら、ダンナの家事・育児サポートと収入アップ、共働き、それしかないですね。
今のままでは坂道を転げ落ちるように、もっと太っていきますよ。
女性も人間ですからね。
風呂に入らなきゃ臭いし汚くなるし、ファーストフードで済ませれば、油は浮くし太るし、肌も荒れる。
それが出産、その後子供の世話と今までの生活と違う生活になるなら容姿も変わりますよね。
変わらないでいるには普通じゃだめで、余裕がなきゃダメ。
美人が美人たるのは余裕があるから。
余裕がない美人って存在しない。
休日にスポッチャ行くとか、一緒に散歩するとか、子供と一緒に皆で公園に行くとか。
体重を、一緒に背負って欲しいなって思う。
隣室のベランダからのたばこの煙が不快
たばこが大嫌いで結婚相手も「たばこを吸わないこと」を条件に探したのに、マンションの隣人がベランダでたばこを吸う人だった。
注意するとムッとされてしまった・・・という悩み。
西原先生のコメントはこうです。
私だったら、とりあえず隣の人に空気清浄機をプレゼントするね。すっごい吸い込む強力なやつを。
「ベランダで吸うとき、これ使っていただけませんか」って。
それも「臭いから」じゃなくて「ひどい喘息持ちで煙を吸うと咳が止まらなくなりまして」とか言ってね。
「臭い」って言われると向こうもムッとするけど「病気なのですみませんけど」って言えば、わりと角が立たないんじゃないかなと。前にも言ったけど、ウソも方便ってやつですよ。
この悩みが書いてある5章のテーマが
上手なウソは人生の通行手形なんです。
この言葉にすっごい励まされたんですね。
なんか今まで「ウソは絶対にいけない」という強迫観念?みたいなものに縛られていて。
正直でいなきゃいけない。
ウソをつくぐらいなら我慢するとか、あきらめるとか。
そういう風に生きていかなきゃいけないって思ってて。
世間の言う「普通」親が言う「当たり前」に入ってなきゃ認められないって思ってて。
その枠に入らなきゃ「人としてどうなの」みたいな事になっちゃう。
「○○さん家の○○ちゃんさー大変らしいよ」みたいになって親に迷惑かけちゃう。
生きづらいってわけじゃないけど、ウソつければ楽なのにって思うことたくさんあった。
でもウソついたら後ろめたさやら申し訳なさやらでいっぱいになっちゃう。
ウソは基本は泥棒の始まりだから。
だけど、この本を読んだら「なんだ、もっと肩の力抜いていいんだ」って思えた。
それはきっと西原さんが包み隠さず、言葉も飾らずに書いてるからだと思う。
66の悩みに答えている本書。
生きるって、みっともないことだし、みっともなくていい。あの手この手で、どうにかして生き残った者が勝ち。そのためには、ついていいウソがある。人のお金をくすねるとかいうのじゃなければ、ウソをうまく使えばいい。彼氏にだって、自分の過去を全部言うことないでしょう。
相手を怒らせたり迷惑かけたりしたらウソになるけど、周りを楽しませたり自分を守るためなら、それはウソじゃない。

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)
- 作者: 西原理恵子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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是非、真面目な人、自由に見えて気使いな人、正しい自分であろうとする人、そしてちょっとでも楽に生きれたらなと思っている人にオススメです。