《内容》
彼女の涙に秘められた、あまりにも切ない真実・・・。
「ずっと好き」はどこにもないから 私は毎日、小さな嘘をつく―。
この映画そんな有名じゃないと思うんだけど、すごく素敵だからほんと見てほしい。
ちなみにパレスチナ版はこちら↓
【映画】ガザの美容室~女というカオスは容赦がなくて温かい~ - 深夜図書
ここにいる女はみんな狂っとる
うちはいっつもそうやき
いっつもそう
なんでうちこんなにさみしが?
なんでさみしゅうてさみしゅうてたまらんが?
なんで?
男の人にはようわからん話かもしれない。
主人公のなおこは、離婚後、一人娘を連れて田舎の漁村に帰ってきた。母も離婚していて、一人で美容室を経営している。村に一つしかない「パーマネント野ばら」。
この村にはたくさんの変人が集まってて、なおこの友達のみっちゃんはフィリピンパブのママで、自分の男を車で轢いて一緒に入院したり、みっちゃんのパパがチェーンソーで電信柱倒したり、ともちゃんは歴代の男ぜーんぶDVだったり、なおこは村の人はみんな変だと恋人のカシマに愚痴っていた。
女たちは大体男に苦労してて、集まって酒を飲んだりタバコ吸ったり、なんかまあはたからみたらやさぐれたように映ってた。
一見まともに見えるのはなおこだけで、ほかの人は少々ぶっ飛んでるように見えたのだ。
だが、なおこの恋人のカシマも一緒に旅行に行っても先に帰ってしまったり、とにかくなおこを振り回すのだった。
そうしてなおこは気づくのだ。
「私は狂ってる?」と。
そんなんやったらこの町の女はみんな狂うちゅう
えいきん
あたしらずっと世間様の注文してきた女やってきたんよ
これからは好きにさせてもらお
「あたし、カシマと付き合ってる」
なーんべんもきーたよ
忘れんぼやなぁなおちゃんは
えいきん
なんべんでも話して
実は、一番まともそうななおこをみんな心配していたのだ。もう帰らない人をずっと海辺で待ち続けてるなおこを。そしてさみしくてさみしくてしょうがないと泣くなおこを心配するのは、生者だけではなかった。
大好きだった先生。先生のことを忘れられないまま結婚して離婚して、そうしてまた先生とデートしてる。「もう子供じゃないだろ」という先生、大人らしく旅館で待ち合わせる二人、だけどそこにいるなおこは母親ではない。大人ではない。大人の庇護の元にいるまだ高校生のなおこなのだ。
とくにみっちゃん役の小池栄子、ともちゃん役の池脇千鶴、そして儚くて海に連れていかれてしまいそうな雰囲気が菅野美穂ぴったりで、すごく好きな映画です。
強そうに見えて、平気そうに見えて、人って全然脆いから、実は誰かに支えられて支えて生きてる。
西原理恵子さんってキャラ的にがつがついう人って感じですが、すごい繊細な人のように思う。
この人の作品は、泣かせようとか泣くところだぞ!ってとこがなくて淡々とした日常がすごく切なくて泣きたくなってくる。この映画もね、思い出の中のカシマとなおこは少ししか出てないのに、なおこがカシマのことを好きで好きでしょうがないのが伝わってきて、、、それでも最後なおこをこちら側に連れて行くのは娘のモモってところもすごく好き。