《内容》
パレスチナ自治区、ガザ。クリスティンが経営する美容室は、女性客でにぎわっている。
店主のクリスティンは、ロシアからの移民。美容室のアシスタントのウィダトは、恋人で、マフィアの一員アハマドとの関係に悩んでいる。亭主の浮気が原因で離婚調停のエフィティカールは、弁護士との逢瀬に向けて支度中。戦争で負傷した兵士を夫に持つサフィアは、夫に処方された薬物を常用する中毒者だ。敬虔なムスリムであるゼイナブは、これまでに一度も髪を切ったことがなく、女だけの美容室の中でも決してヒジャブを取ることはない。結婚式を今夜に控えたサルマ、臨月の妊婦ファティマ、ひどい喘息を患っているワファ、離婚経験のあるソーサン…それぞれの事情をもつ、個性豊かな女性たち。戦火の中で唯一の女だけの憩いの場で四方山話に興じていると、通りの向こうで銃声が響き、美容室は殺りくと破壊の炎の中に取り残された…
これ好きじゃない人は辛いかもしれないけど、女同士が好きな私にとってはかなり好き。美容室って女が集う場所で、そこでの会話の日本verがこっちかな。
ガザの美容室の女たちはもっとあけっぴろげなんだけど、決して意地悪ではなくて、他人と家族の間みたいな距離感。あまりアラブ系?に詳しくないのですが、美容室ではヒジャブをする必要がないのでその分いろいろさらけ出てしまうかのもしれないですね。
女たちは集まる
どれだけ政府が圧力をかけても女たちは集う。
友達とか家族とかは関係ない。女と女が出会えばそこに垣根はない。
「ちょっとあんた、早くしなさいよ!」と言ったり、「出たら?」とか「あんな男のどこがいいの?」とかやたら絡んできた挙句「失敗したら許さないから」とかぎらついた目で脅す客。
それに対して「うぜえええええええ」という目を隠さないでにらみつけるアシスタントであった。しかも、何度も恋人からの電話で抜け出して全く仕事が進まないのである。
約80分の映画の中で、最初に着席している二人の客をさばけないまま物語は終わる。
花嫁はどんな髪型にしたらいいのか、迷う。母に聞いたりその場にいる人に助言を求める。美容師に「どうしたい?」と聞かれても「わからない」と答えるくらい、周りに合わせているのだが、
「ショートよ!」
「レイヤーよ!」
「ばっさりすっきりよ!」
とか好き放題言われるうちに自分は「切りたくない!」という感情が湧き上がってくるのですね~。こういう描写が個人的にほんとすき。
そうこうしている内に店の外では戦争が勃発。電気が切れて蒸し暑くなるし、ドライヤーも使えないし、美容院は稼働できない。
電力会社はみんなが電話しているからか出ないし、お客さんの中の一人は陣痛で苦しみだす・・・パニックでお客さん同士が喧嘩したり、もうなんやかんや・・・
いい加減にしてよ!
これじゃ表の男と同じじゃない!!
と店主ブチ切れるのですが、こう・・・なんか女としての誇りというかね。彼女たちは男に抑制されているように見えて、実はものすごく女としてすごく誇り高く生きているのでは?と思わされるシーンが続出。
戦争の現況ともいえる男が店の中に入ってきて、緊迫なムードになっても誰も否定しない。黙ってヒシャブをかぶり、じっと男と恋人の姿を見てる。
女とか男とかでくくるのは正しくないかもしれないけれど、なんだかんだ文句言ったり、喧嘩したり、言いたい放題言ったとしても、本当に困ってる人を前にすると受け入れてしまう、そういう慈悲が女にはあって、それが描かれているような気がしました。
私も女としての誇りというか、そういうの感じてみようと思いました。