《内容》
人気AV女優・紗倉まなの小説を、瀬々敬久監督が映画化。AV業界と関わりを持つようになった主婦、専門学生、奔放な母親に振り回される女子高生の3人と家族が織り成す葛藤を綴る。主演の森口彩乃、佐々木心音ほか、高岡早紀ら実力派が脇を固める。
2020年は著名人の自殺が目立って、その中でも有名な若い俳優さんや音楽家の自殺は衝撃だった。こんなに美しく、地位も名誉も、才能も、お金もあるのに、どうして自殺するんだろう?そんなに持っているのにどうして幸せになれないんだろう?って。
だけど、人の幸せなんて他人が計れるもんじゃない。表面上の言葉や仕草や会話でそれが真実だなんてことはあり得ない。そういうのをこの映画でも感じました。
逃げても幸せにはなれない
誰か自殺したって聞くとなんとなく辛いことがあったのかな、とかどうにもならなくなっちゃのかな、という気持ちが先に出て、どうしても幸せではなかったんだ、という結論に至る。
この映画だと、たぶん「誰にもわかってもらえない自分」っていうのがある気がします。私はこの泣いてる女の子のお母さんが言う
昔っからそうだった
何考えてんだか
兄弟だけであんただけあんまり笑わないし
お母さんあんたが何を考えてるか
ちっともわからなかった
に似たようなこと言われてるので、これ言われたときの孤独というか「誰にもわかってもらえない」感というか、なんかそういうのわかるなぁと思ってみてました。
わかってもらえない人間がいる場所から逃げて自分が自分のままいても普通であるようなところに行きたいって気持ちが。
はたから見たら美人で恋人もいて、しっかり者だけど、私が思うに、こういう見た目しっかりしてる人ほど、「ほんとうの私の気持ち」っていうものを強く持ってるような気がします。
彼がいても彼は結婚には興味ない。
自分はどんどん妊娠適齢期から離れてしまうのに、何にも前に進まない。
そんな日常を変えたいのか、彼への復讐か、たどり着いた先はAVだった。
まあ大人になると逃げれる場所を自分で見つけられるという長所があって、でもその場所の責任も自分っていう短所がある。そういう諸刃の剣を手に入れるのだけど学生のうちはそうはいかない。
生まれからも環境からも逃げられない時期。
おばあちゃんさ
もしかして、私に嫉妬してる?
若くてきれいで淫乱の淫乱の娘だから?
知ってるよあたし
女を捨てたおばあちゃんだって
女として生きてきたお母さんには本当はすごく嫉妬してるって
あんな失敗した娘なんて適当にあしらって
女として生きればよかったって
母がAV女優ということが学校中に知れ渡り、変な色目で見られることにストレスを感じる娘。そのいら立ちをおばあちゃんに向けたり、自分を助けようとした同級生の男の子にぶつけたりするんだけど、お母さん自身には怖くて言えない。
大人だろうが子供だろうが生きるには傷つかずにはいられない。
命刻みながら涙流しながら今日も今日とて死ぬ日まで生きていく。なにが楽しいんだかどこに希望があるんだか、そんなもんあるかもわかんないのに、今日も今日とて飯食って風呂入って寝るようにプログラミングされたロボットみたいに。