《内容》
動物保護センターで働く青年セス。バスで偶然同級生だったホリーを発見し、声をかけるが彼女はセスを全く覚えておらず邪険にされてしまう。悔しい思いをしたセスはSNSで彼女のことを調べ上げ、バイト先を突きとめ執拗に彼女に取り入ろうとするが、逆に馬鹿にされる始末。思いつめたセスはホリーの家に侵入し待ちぶせ、帰宅した彼女を拉致し、自分の働く動物保護センター地下の檻の中に監禁するのだった…。R-15
久しぶりに痛快だった作品。
無傷で人を救えるなんて思うなよ。
と、常々思っているんですが、まさにそんな感じです。よく、あなたのためを思ってとか、そういう前置きで遠い場所から救うという大いなる勘違いの元大声で呼びかけてくる奴いるけど、ただの野次馬と同じことに気づけよな。自分に害がない場所から叫んで人をコントロールしようだなんて、あんたにどんな価値や権利があるっていうんだよ。
無傷で人は救えない
ストーカーがホリーを職場の一つの部屋に監禁した。死を待つ動物たちと同じ檻の中に彼女を閉じ込め、彼女を尾行して手に入れた日記から彼女を憐れみ、そして救おうとする男の名前はセス。
セスはバスで見かけた彼女に話しかけるが素っ気ない態度をとられてしまう。しかし、諦めきれないセスは彼女のバイト先に現れSNSで調べ上げた彼女の好きなバンドのチケットでデートを申し込んだり、花束を贈ったりするが邪険に扱われてしまう。
ホリーには恋人がいたが、手に入れた日記を見たセスは彼女を救えるのは自分だと思い込む。
まるで、本当のホリーを知っているのは自分だけだとでもいうように。
そこからセスは彼女の日記に書かれていることについて、愛について持論を展開する。しかしホリーも「女を監禁しといて愛語るんかい」的な反撃をするが、セスは優勢だった。なぜならその日記に書かれていたことと、ストーキングすることで見つけた彼女の罪をセスは知っていたからだった。
セスがいなければ食料も水もない状態のホリー。まさに飼い主とペット、ご主人と奴隷のような関係。だけど、ここは職場の一角である。
セスは責任者でもなければクビを都度持ち掛けられるくらい、この職場での立場は低かった。そしてもちろん一人きりで働いているわけではない。
そしてホリーはその罪の数だけ賢かった。
果たして檻の中にいるのはどちらなのか?
一筋縄ではいかない心理戦。正論で打ち負かすのではなく、相手をコントロールして思い通りに動かすホリーのやり方は正直に言って賢さだと思う。
痛快なのは、正直さや素直さでバッドエンドになる物語ではないから。正論で打ち負かせるのはその一瞬で、大きな恨みや憎しみを生むことを考えれば賢くはない。正しさが常に勝つわけではないのは理不尽かもしれないけれど紛れもない事実。