深夜図書

不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】同級生~「普通じゃない」を作っているのは「普通の人」~

 

≪内容≫

高校入試で全教科満点をとった秀才の佐条利人、ライブ活動をして女子にも人気のバンドマン草壁光。
およそ交わらないであろう二人の男の子。
そんな「ジャンルが違う」彼らは、合唱祭の練習をきっかけに話すようになる。
放課後の教室で、佐条に歌を教える草壁。
音を感じ、声を聴き、ハーモニーを奏でるうちに、二人の心は響き合っていった。
ゆるやかに高まり、ふとした瞬間にはじける恋の感情。
お調子者だけどピュアで、まっすぐに思いを語る草壁光と、はねつけながらも少しずつ心を開いてゆく佐条利人。
互いのこともよく知らず、おそらく自分のこともまだ分からない。
そんな青いときのなかで、もがき、惑いつつも寄り添い合う二人。
やがて将来や進学を考える時期が訪れ、前に進もうとする彼らが見つけた思いとは…。

 

汚いものよりキレイなものの方が良くないですか?

ドロドロした感情より純粋な感情の方が見てて気持ちよくないですか?

BLとかGLの需要ってここにあると思うんです。

 

正直、この「同級生」はNLだったら「なぜ映画にした!?」と思うくらい普遍的なお話です。

①合唱の練習をきっかけに出会う

②好きになっちゃう

③実は両想いチュウ

④でもタイプは派手と地味で正反対

⑤そんなとこも悩む

⑥でも結局好き

⑦進路悩む

遠距離恋愛になっちゃう

⑨ケンカ

⑩仲直り、ラブラブ

 

簡単に言うとこんな感じです。

超・よくある高校生のカップルの日常って感じ。

最近のNL映画「俺物語」とか「ヒロイン失格」とか「ホットロード」「僕らがいた」とか(古かったらすみません)

まぁ普通よりコメディになっていたり、設定が特殊だったり、日常ではない感じ。

同じ同級生で恋愛ものだと「僕の初恋を君に捧ぐ」とか?

これも重い病を背負ってますしね、「子どものおもちゃ」とか芸能人だし・・・まぁとりあえず普通の普通の恋愛モノって以外にないなと。

 

これとかリアルだなーと思いましたが

 共感はすっごくするけど、世界観は日常です。

 

じゃあ「同級生」は日常なのになぜ世界観があるのか。

それは男女間の恋愛における駆け引き、そういうリアルないやらしさがないからです。

同性愛がイレギュラーであるが故に嫉妬する必要が薄いこと。

そのイレギュラーが強いられる閉鎖感。

その日常を強い線は引かずに淡くやさしく彩る水彩画。

これらが日常では感じられない世界観を醸し出してると思います。

 

ただ、あまりに普通なので途中からメガネ君を女の子と思い見始めましたがNLでも全然違和感ないです。

これすごいことだなって思います。

BLだって設定バリバリなものは多いなか、ここまで普遍的な作品を作るということ。

 

しかも、金髪くんは普通に友達に付合ってるのかと聞かれて「付き合ってるよー引く?」みたいな感じなんですよ。

これってヤンキーが地味子と付き合って周りの友達に「お前もしかしてあんな地味なヤツと付き合ってんのかよw」とか言われたときに、「付き合ってるよー引く?」と言っても通じますよね。

同性愛の障害(私の中での)友人や親にカミングアウト出来ないことで悩むを颯爽とクリア。

しかも路チューまでする始末。

ここで「おいっNLでも路チューまでしないぞ!」とか思ったんですが、なんかこの考えってすっごい上から目線だなって思いました。

 

自分の基準がNLだから、BLとかGLとかの登場人物がNLで尻ごみすることをしたときに「普通のカップルだってしないよ」とか

「男の子同士で恋愛出来るのに普通の恋愛が出来ないなんて・・・」とか

本当に自分ってイヤな奴だなって思いました。

 

特殊な設定が何一つないが故に観客の基準、常識、価値観というものが浮き彫りになる作品だと思いました。

 

 

恋愛をする資格

f:id:xxxaki:20170121153000j:plain

そんなもの誰にでも与えられているようで、自由なようで、本当はすごく決まりごとが多いんじゃないかなって。

それを決めてるのは自分自身で。

いわゆるタイプとか、そういうもの。年齢・顔・性格・声とか職業とか、大人になるほど項目が増えていく気がする。

 

私は女性で、女性に恋することが出来ません。

一時期そのことですっごく悩んだんですが、もう仕方ないのであきらめています。

というのも、バイになりたかったんです。

その人を男とか女とかそういうもので判断してないのならどっちだって愛せるはずだと思ったから。

男だからじゃなくて、人として好きだというのなら人の中には女もいるんだから、女も愛せるだろうと。

それが人を愛するということじゃないの?と思ったんです。

だけど、どんなに顔がタイプでも性格が可愛くても好きになれないんです。

 

ちなみに親友にも「私さ、あなたのことを好きになりたいけどどうしても好きになれないんだよ・・・こんなに分かり合える人他にいないのに!!」って胸の内を語ったら「うん・・・わかるよ」と受け止めてくれました。

親友のこと大好きなのに、それは恋じゃない。

 

だから、恋をしている人・・・というか人を恋愛的に好きになれる人ってすごいなぁと思っています。それが、NLだろうがBLだろうがGLだろうが。

そう思っていたし、思っているのに、「男の子同士で恋愛出来るのに普通の恋愛が出来ないなんて・・・」という感情に至るとは、自分で自分にショックです。

そして、改めて自分の考えを見なおそうと思いました。

 

 

男同士、女同士

f:id:xxxaki:20170121154538j:plain

この作品のすごいところは女同士に変換しても成り立つところだと思います。

それほどに日常なんです。

BLだけど男に縛られていないというか。

逆に言うと、今の時代男も女も関係ないということです。

煙草吸ってバンドのモテモテギターで、夏休みに免許とって大型スクーターで迎えに来ちゃうような女の子が想像出来ちゃうという現代。

もう"恋愛は男女がするもの"は古いんじゃないの?

と思うくらいに。

 

人を好きになって、だからキスしたくて、その先にも行きたくて、でも好きな人の頑張ってることは邪魔したくなくて、でも一緒にいたくて・・・

って誰もが分かる感情だと思います。

 

だからこそ、BLもGLも特別じゃなくて普通なんじゃないか。

人を好きになって、だからキスしたくて、その先にも行きたくて、でも好きな人の頑張ってることは邪魔したくなくて、でも一緒にいたくて・・・

この感情が芽生えたら、相手が誰だろうと普通なんじゃないかって。

メッセージ性が強い作品ではないと思うんですが、だからこそ伝わるものもあるんだなとしみじみ思いました。

 

 

 

普通とはいかに

f:id:xxxaki:20170121155520j:plain

良かったのは金髪くんこと草壁が、誰に対しても素直なところだと思います。

「好きだから好き」「好きだからキスしたい」「好きだから心配する」「好きだから応援する」「好きだから傷付く」「好きだから相談する」

他の誰かに分かってもらえないとしても好きだから、想いを伝える。

草壁があっさりと友人にカミングアウトしたとき、友人は「今まで色んな女と付き合ってたけど、本当の初恋なんじゃねーの」みたいなことを言うんです。

 

ここで「普通じゃない」を作っているのは「普通の人」なんだなって強く思いました。

「今まで色んな女と付き合ってたけど、本当の初恋なんじゃねーの」って言葉は草壁の相手が男だと分かった上での発言です。

 

「本当の恋」に性別は関係ないんだなと。

 

そんなこと分かっていた筈なのに、恋に年齢も性別も関係ない!みたいに柔和な考えで生きていると思っていたけど、本当の本当のところは自分にも、自分の周りにもそういう人がいないから、「つもり」だけで分かったふりしてただけなんだって思いました。

 

 

60分の映画でここまで自分の人間の出来てなさを痛感することになろうとは思いもしませんでした。

特別なものは何一つない世界の普通の恋愛。

ただそれが男の子同士なだけ。

それは普通じゃないんでしょうか。

 

人が人を好きになる。

世界ではこれが当たり前の感情のようになっていますが、果たしてどれだけの人が本当の恋をしているのでしょうか。

 

静かに流れていく60分間の季節を是非ご覧あれ。

同級生(完全生産限定版) [DVD]