《内容》
羽海野チカ原作の漫画が映画化。浜美大に通う、竹本、森田、真山、あゆの4人は、花本研究会で知り合った仲間。ある日、竹本は花本先生の従兄弟の娘で天才的な絵を描くはぐみと出会い、一瞬にして恋に落ちてしまう。竹本と同じ寮に住む真山は、アルバイト先の年上の女性に恋をし、あゆはそんな真山に片想い。一方、天才肌で自信家の森田が大学に戻ってきて、はぐの才能に興味を持ち始め…。
「全員片思い」という恋愛漫画がある!ハチクロ!というのは知っていたのだけど、なぜこのタイミングで見ようと思ったのかはわからない。そして、最終的にどうなるのかもわからない。でも、こういうなんでもない日常に射し込む恋愛風景は結構好き。
なんとなくこの映画に雰囲気が似てた。
人が惚れるのは才能
人を好きになる理由に性格とか顔とかあるけれど、それもいわば一つの才能だと思います。韓国では美男美女を顔の才能、とか言ったりするみたいだけど、芸術だけでなく運動だけでなく、才能というのは誰でも複数持っていて、そこに惹かれる誰か、そこに才能を感じ好かれることで恋愛というのは生まれるのではなかろうか?とこの映画を見て思った。
登場人物の5人の中でずば抜けた芸術の才があるのは、蒼井優演じるはぐみと、伊勢谷友介演じる森田(一番左)である。そして彼らは美大生なので、二人の才能が一番輝く場所である。
対して主人公(たぶん)の櫻井翔演じる竹本は、いいやつなんだけど特に目立った才能がない、面白みのないやつみたいな立ち位置である。
はぐみが絵を描く姿を見てひとめぼれするが、たぶん誰もがこの恋は実らないだろう、と感じると思う。それほどまでに才能とか持っているものがどれだけ相手の気持ちを左右するかをほとんどの人間が痛感しているから。
自分の持っている才能では、好きになってもらえないとき。今度はその好きの気持ちが才能になるんじゃないか。
例えば、多くのアーティストが言うように、好きだからやり続けた、みたいに。たとえその人と結ばれなくても誰かを強く欲する気持ち、振り向いてもらえないことからも目を背けず、相手の幸せを願う強さ。そういうものが総じてその人の魅力となり、言葉にできない才能になるのではないか。
何にせよ、この物語の登場人物はみんな自己表現をしてる。その対象が物であれ人であれ、過去であれ、なんにせよ人間とは自己表現しなければ何の魅力もないんだな、と思いました。