≪内容≫
⑨高校最後の文化祭、出し物は男子学生服喫茶に決まり、盛り上がる3‐C。一方、自分のノートに書かれた悪口を見つけた夕士は、クラスメイトの心の闇を知る。学校裏サイトにも不穏な空気が…。
⑩「妖アパ」驚嘆と感動の最終巻! 高校卒業を目前に長谷の祖父が亡くなった。その後に残された執念が恐ろしい形となって二人の目の前に現れるが、立ち向かう二人はさらに絆を深め、逞しく成長する
妖怪アパートの幽雅な日常、最終回です!
一難去ってまた一難。だけど最後は感動のハッピーエンド。
9.高校最後の文化祭、10.おじいちゃんが怨霊に!?
裏サイト
受験シーズン。
就職、進学、それぞれがそれぞれの道に進むとき。
夕士のノートには「お前が大学?笑える」と書かれていた。
なんと、3-Cの裏サイトにはもっと過激なことが書いてあった。
「お前らはいいよなあ。やりたいことが決まってて、楽しそーにしゃべくりやがって。あーしたい、こーしたいって、うぜーんだよ!」
「だから隠れて悪口メール送っていいわけあるか!」
「お前ら見てると、イライラするんだよ!自分にイライラするんだよ!」
冨樫は、本音を吐いた。
「なんにも決めらんねぇのが、イライラしてムカムカして・・・たまんねぇんだよ!全部壊れろって気分になるんだよ!」
周りが見えないときってありますよね。
自分だけ辛いなんてことはないって分かっているのに、周りは何だかみんなうまくいっているようで、辛いのは自分だけみたいに感じるとき。
誰かの励ましもアドバイスも素直に受け入れられないとき。
みんなに迷惑かけた・・・と、自分で自己嫌悪に陥るけど、周りってそんなに気にしていないんですよね。
気にはしてるけど、立ち直ったなら良かったねと受け入れてくれる。それだけ。
辛いときは甘える。
それは甘えられる相手がいるからできる。
夕士の怒りも、言葉も正論なんだけど、こういう時ほんとうに必要なのは冷静な判断じゃなくて寄り添う気持ちなんじゃないかなぁ・・・と思ったり。
ま、これは第三者だから言えるな~と思います。
受験シーズンって空気が独特ですしね、、、
自分が不安定なときは、同じ不安定な人といるのではなく安定している人といると安定します。
ひとりでどうにもならないときは、誰かに引っ張ってもらいましょう。
人間の業
長谷の祖父が死して怨霊となり、姉の汀にとりついた。
「人間の業というものは、洋の東西を問わず、今も昔も変わりませんなぁ」
愛の力は、もちろん大きい。だけど、恨みや憎しみの力のほうが、増幅も凝固もはるかに速くて大きい。
「それは、恨んだり憎んだりするほうが、許したり愛したりするより簡単だからだヨ」
夕士と長谷は祖父と対決し勝ちますが、重症になった長谷を救うために夕士は力を使いきり、その夕士のためにプチは力を使いきることに。
そして、半年間の冬眠を経て夕士は目を醒ます。
生霊ってあるみたいですね。
生霊飛ばされたらどうしようもない・・・と思ってたけど、自分に隙がなければいいみたい。クリのように小さな子どもで、母からの生霊だったら不可避は確実な気がする。
けどね、人間正しさばかりじゃ逆に破滅しちゃう。
そして、破滅するのに誰かのせいにしちゃう。
許せなくても愛せなくてもいいから、逃げちゃえばいい。
どんな状況に立ったとしても
人生は長く、世界は果てしなく広い。
肩の力を抜いて行こう
自分の運命
半年冬眠している間に世界はすっかり進んでいた。
あんなに大学に行こうと思っていたのに、なんだか気が進まない。
周りは浪人すればいいと言う、焦らなくていいと言う。
夕士は大丈夫だよと言う。
つい「大丈夫」と言ってしまう気持ち。何度でも「大丈夫か?」と問う気持ち。どちらも、口に出してから「また言っちまった」 と思い、それでもまた口から飛び出してゆく。手を伸ばせば触れられる距離にいるから。手を伸ばして、触れたい距離にいるから。何度でも手を取って、何度でも「大丈夫か?」「大丈夫だ」と言いたくなる。
「大丈夫?」「大丈夫」「大丈夫じゃない」
そういう声を掛けあえるのって素敵だなぁと思う。
夕士は古本屋と一緒に世界旅行に旅立つことにした。
長谷は新たな会社をつくり、クリとシロは成仏して双子の兄弟に生まれ変わった。
夕士の高校生活が詰まった「妖怪アパートの幽雅な日常」。
そこには、たくさんの愛と美味しいごはんが詰まっています。
大人になって、20代ももう終わりに近づいてきた私。
それでもまだまだなんだな~と思う。
だって、人生は長く、世界は果てしなく広いから。
いつも等身大の自分で、悩み苦しみ落ち込んだとしても肩の力を抜いて行こう。
妖怪アパートの幽雅な日常(9) (YA! ENTERTAINMENT)
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そして、夢を失いそうになったときはまたこのアパートの住人に会いに行こうと思う。