≪内容≫
デリヘルを経営する元刑事ジュンホの元から、女たちが相次いで失踪。時を同じくして、街では連続猟奇殺人事件が勃発。ジュンホは、女たちが残した携帯電話の番号から客の一人ヨンミンに辿り着く・・・。「女たちは俺が殺した。そして、最後の女はまだ生きている。」捕らえられたヨンミンはあっけなく自供するが、証拠不十分で再び街に放たれてしまう。警察すらも愚弄される中、ジュンホだけは、囚われた女の命を救うため、夜の街を猛然と走り続ける・・・。
これは・・・けっこうエグイです。
こういうの見るとホラー映画の幽霊とか悪魔より人間が一番怖いわ、と再認識する。宇垣アナがゾンビより人間が怖いって言ってたとネットで見たけど、ほんとうにそう思う。怖いよ、なまじ言葉が通じないわけがない、と最初っからそこは信用しちゃうわけだから。
虚しい十字架
元刑事のジュンホは自分のところの風俗嬢が帰ってこないことに腹を立てていたのだが、今回電話をかけてきた依頼人の電話番号が失踪した風俗嬢の最後の相手だと判明。
風邪で休んでるミジンを起こし現場に向かわせる。そして住所を突き止め、その男を捕まえてやろうと企む。
ミジンは母子家庭で一人で娘を養っている。
風邪で熱もあるのに急遽男の相手をしなくちゃいけなくなった母と、母の看病をする健気な娘・ウンジ。
まさかこのままお母ちゃんが帰ってこなくなるなんて思いもしない。
しかし母はジュンホのせいで音信不通になってしまう。ジュンホは残されたウンジの世話をしながら男を追う。
さて、犯人であるこの男。一体何が目的なのか。
この映画、しつこいけれど結構ほんとうに怖いです。この拷問のシーンだけでなく、ラストにももっと怖いシーンがあります。
あっさり犯人は捕まるのですが、死体が見つからない。動機も分からない。警察にこいつを連れて行っても自宅を言わないこの男。
ジュンホはミジンの生死がかかっているため殴ったり暴行を加えるも全然吐かない。挙句、警察は動かない。ジュンホは独自に調査を進める。
その結果、ヤツと接触があった風俗嬢に出会う。そこで、ヤツの状態を知ったジュンホ。
そのころ、警察でも精神鑑定が行われていた。風俗嬢を狙った残忍な殺人行為の意味を精神科は今までのサンプルに重ねて本人に告げる。
ジュンホの懸命な捜査も空しく、警察側はミジンの捜索は勝手に殺されていると判断したことにより後廻し状態。加えて証拠不十分で犯人は解放。
ジュンホは金うんぬんよりミジンを助けることに必死になっています。
この映画、警察の無能っぷりと市民の余裕の無さのせいで全てが狂っています。冒頭に出てくるソウル市長に糞を投げ付ける市民の描写がこの映画における市民像。ジュンホもミジンも精一杯だし、この娘をひき逃げしたであろう飯屋の配達もそう。
傷心のジュンホの目に飛び込んできた十字架。
導かれるように教会に入り、ヤツの身柄を問うと衝撃の事実が判明するのだった。皮肉にも、教会で。
これ実際の事件をベースにしているとのことです。警察の無能っぷりが目立つところは実際をベースにしてるかは分かりませんが、確かに市民を守る警察がこれだけ頼りにならないと自分の家族や大切な人は自分が守るしかなく、それ故に家族以外の人間を蔑ろにするしかないという状況になってしまうのかもしれない・・・と思ったりしました。
肉弾戦もけっこうあって、スリルもすごいし怖いし映画としてかなり楽しめるのですが、楽しいという言葉が不謹慎なほど実際の事件がベースという事実が恐ろしい。