≪内容≫
北欧ミステリー「特捜部Q」シリーズ第2弾。カールとアサド、ローセに20年前の事件ファイルが託される。それは、寄宿舎学校近くで起こった兄妹惨殺事件で、犯人も逮捕されていたが、捜査が不十分なまま打ち切られたものだった。
パッケージからしてマジヤベェやつ、って思いますね。
覆面4人に裸の女の死体。やばい匂いしかしない。ていうか北欧ミステリーって女性が被害に遭う事件が多い(というかほとんど)な気がするんですが・・・なぜなのだ・・・怖い。
狩られる側(キジ)が弱いだけだと思うな
前回の事件で功績を挙げた特捜部Q。その存在を知った警察官から手紙が来るが、未解決事件は50件以上もあり、忙しくてまったく手をつけていなかった。
そこで手紙の主は直談判しにカールに接触する。・・・が、カールは適当な相槌で対応し彼を追い払ってしまう。
カールの対応によって自分の思いが伝わらなかったと思ったのか、彼はカールに自らが捜査して集めた資料を遺品として残し、この世を去った。
カールは冷たくあしらった自分に責任を感じ、彼が残した20年前の解決済みの事件をもう一度洗い直す。
寄宿舎学校近くで起こった兄妹惨殺事件。
すでに犯人は裁判で判決を下され、5年の懲役をくらい3年で出所していた。
2人を殺すだけでは足らず、妹は性的暴行を受けてからの殺害だった。それなのに、あまりに軽すぎる罰。カールは不信を感じ、この犯人と犯人を精神障害として罪を軽くした弁護士を調査し始めた。
事件が起きたすぐ近くの寄宿学校。
そこにいたのは、金持ちでイケメンで王子様のディトリウと、金持ちの家に生まれた故か愛情を受けずに育ったひねくれた美少女キミーだった。
徐々に明らかにされていく二人の恋人たちのキジ狩りと、今。
大成功のディトリウと
浮浪者のキミー。
この物語、ミステリーとしても面白いですが、キミーの一生のドキュメントみたいな感じでも見れます。
もう序盤からキミーが全ての罪を背負って離された羊であることは分かってきます。だけど、その罪に自ら手を伸ばしたのがキミーなのでした。
若く罪悪感のない逃避が恋愛だったとき、現実から目をそらすために必要としたのが恋愛だったとき、人は比較的簡単にスポイル・洗脳されやすいと思います。だって、前提として逃げてるんだから。
だけど、その逃避中に起きたことは現実世界で決してフィクションにはならない。流された罪でも罰は永遠についてくる。
だから私はキミー視点でこのラストはすごくしっくりきています。ただ、自分がカールだったらキミーに対してどんな感情を持てば自分を納得させられるのか難しい最後でした。