《内容》
1953年、スターリン政権下のソ連で、子供たちの変死体が次々と発見される。その死体には多くの共通点があるが“殺人は国家が掲げる思想に反する”ため、すべて事故として処理される。秘密警察の捜査官レオは親友の息子の死をきっかけに、事件解明に乗り出すが…。巨匠リドリー・スコットが贈る、実在の連続殺人事件をモチーフに理想国家の闇を描き出した傑作ミステリー。
これはけっこう難しかった・・・!正直、この映画を見るまで「ホロドモール」という言葉を知らなったし、独ソ戦の知識なさ過ぎて、いろんな言葉をググりながらなんとか理解したという感じです。
ソ連の行った計画的飢餓「ホロドモール」が残酷すぎる - NAVER まとめ
なので、前知識があるか雰囲気で察することができる人でないとちょっと大変かな?と思います。映画側にすべてゆだねるとちんぷんかんぷんで終わりそうな映画です!Let's勉強!
戦争を抜ける人と
閉じ込められる人
主人公はホロドモールによって孤児となり、のちに孤児院を抜け出し軍人に拾われたレオ。孤児院では残酷ないじめが行われており、レオはそこから抜け出したのだ。軍人に名前を聞かれ捨てたと答える彼に新しい名前が与えられたのだ。
舞台はホロドモール最中の1933年から第二次世界大戦終結後の1953年に代わる。
レオは独ソ戦の英雄として国家保安庁の職員になり、エリートになっていた。彼の仕事は主に国を守るためにスパイを見つけ出し粛清することであった。
そんな中、同僚の子供が変死体で発見される。裸で臓器を取り除かれたような跡から殺人だと同僚夫婦は主張するが、「殺人は資本主義の病」と唱えるこの国では殺人はありえない、それが伝われば国家反逆罪に問われてしまうから同僚を守るために一役買えとレオは上官から命令される。
レオは明らかに殺されたであろう友人の子供を事故処理する。そして同僚もそれに同意しこの件は一件落着したように思えた。
しかし、レオに恨みをもつワシーリーという部下の企みによってレオとその妻は小さな町に移動させられてしまう。そこでも同様の変死事件が多発していたことから、レオは本格的に事件を調査することに。
今まで順風満帆に見えたレオだったが、実は妻にも秘密があった。誰もが死にたくなくて誰かを利用したりうそをついている時代だった。
映像は常に暗く、日中も常に曇天である。
レオは新しい街で聞き込みを開始し有力な情報をつかむ。
ヒトラーの報復部隊が各地に残された
実際ドイツ兵は残虐だったしな
隊員たちは
特殊な薬のせいで
子供の血を求めるようになった
そいつらの仕業だ
レオは事件が起きた場所や時間を徹底的に調べ上げ、一人の男を突き止める。その男は、銃を向けるレオにこう語るのだった。
「君だって平気で子供を不幸にしたろ」ーと。
さて、この物語は二分化された人間を描いています。
まず権力を持っていた主人公レオとその部下・ワシーリー。
権力を人のために使う者と、権力を自分のために使う者。
そして、妻・ライーサとレオ。
権力におびえる者と権力を行使する者。
最後に犯人とレオ。
戦争によって与えられた者と奪われた者。
レオは英雄となったことで、戦後は自国で国のさらなる発展のために働くこととなった。対して、犯人はレオと同じく軍人として戦ったのにドイツの捕虜となり、未だ戦争の中にいたのだ。
ちなみにこの映画、サスペンス・ミステリーの有名作品のキャストが大集合!
ライーサ役は「ミレニアム」のリスベットだし
特捜部Qの二人も出てきます!
さらに、ネステロフ将軍はLEONでもハンニバルでもおなじみのゲイリー・レナード・オールドマン。
キャストはミステリー好きなら大興奮!じゃないでしょうか?それにしてもライーサ役のノオミ・ラパスも特捜部Qの二人も英語圏出身じゃないと思うんですが、あちらって俳優になるには英語必須なんですかね?そもそもソ連映画で英語っていうのも興味深いですが、すごいなぁと思って見てました。
ただ、これ原作と異なるようだし、原作がめっちゃ面白そうです。
読みたいなぁ・・・。