
≪内容≫
仕事も恋愛もうまくいかない28歳のライター佐倉明日香。ある日目が醒めると、なんと白い部屋の中に拘束されていた。そこは閉鎖病棟の中にある、通称「クワイエットルーム」。一緒にいるのは「食べたくても食べられない」ミキや元AV女優で過食症の西野など、個性的過ぎる患者たちと、冷酷ナースの江口。そこではあり得ないことばかりが起こり、毎日がサバイバル状態! 明日香はどうしてこんなところにいるのか? そして無事に「日常」に戻ることができるのか?!
一寸先は闇のち光
大量の睡眠薬をお酒で飲んで意識を失い精神病棟にやってきた主人公の明日香。駆け出しのライターで、面白い国の住人である夫と一緒に暮らしていた。ただ、お酒が好きで不眠症がある普通の女。それが明日香の自己分析だった。
締切もあるし、OD(オーバードース:薬の過剰摂取)の診断は間違いで自分は精神病ではない!と主張する明日香だったが、物語が進むにつれて彼女がなぜ精神病棟に収容されたのかが分かってくる。
明日香と同じく、自分は間違っていないのにシステムのせいで収容されているという摂食障害のミキ。
一見二人は何の問題もないように思える。まあ、普通(という名の多数派)がしないことをしてるのはそうだけど、精神科に入れられるまでか?と言われると素人にはまったく判断はつかない。
「二重生活」でも描かれているけれど、他人が見る他人の姿は全てじゃない。身体的な「見える」部分によって真相は隠されている。
その「見える」部分は、その人自身がコーディネートできる。意識的に「笑顔でいよう!常にニコニコ!」を選ぶこともできるし、「お酒とたばこが好きでちょっとちゃらんぽらんな感じ」を選ぶこともできる。
そうやって選んだ姿は、他人に思われたい自分の姿である。
そして他人は大体そう思うと思う。だって、他人のことをいちいち「いやあいつ笑ってるけど実は・・・」とか何億人もいる他人に対して思える余裕なんかない。そう思われたい姿をそのまま受け取った方が、作り手と受け手で合致するし。
自分で選んだ服が脱げなくなると、布で覆われてる肌と布の間には汗や皮脂が溜まっていく。脱ぎたくてもどこからが布でどこからが皮膚なのか、癒着が始まると止まらない。その部分は溜まった汚れでどんどん壊死が進んでく・・・。
そういうのが分からなくなることって割と身近にあるというか、難しいことではないと思うのです。
特に"実際に起きた嫌なこと"を解決のために自力で記憶から引っ張り出して反芻するのは、他人には見えないし説明も出来ない孤独な戦いですよね。
そのことを分かっているから、退院した女性も、ミキもここを出たら渡された連絡先も全て捨てろと言うんですね。
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重い内容ですが、コミカルな脚本?のおかげで最後までそんなにダメージを受けずに見れました。
私は自分を「普通」と思ってて、今は「普通」なのかもしれないけど、いつクワイエットルームで目を覚ますのか、そんな未来を絶対ないとは言い切れない。