深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】閉鎖病棟-それぞれの朝-/その優しさをあなたは咎めますか?

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《内容》

長野県のとある精神科病院。死刑執行が失敗し生きながらえた秀丸。幻聴に悩まされるチュウさん。DVが原因で入院する由紀。彼らは家族や世間から遠ざけられても、明るく生きようとしていた。そんな日常を一変させる殺人事件が院内で起こった。彼らの日常に影を落とす衝撃的な事件はなぜ起きたのか。それでも「今」を生きていく理由とはなにか。法廷で明かされる真実が、こわれそうな人生を夜明けへと導く―。PG-12

 

いや、、、、これは、、、激重すぎて・・・絶句。

精神科病棟の話は、クワイエットルームにようこそでも見たんだけど

www.xxxkazarea.com

 

本作は精神科病棟の中の話というより、「なぜ精神科に入ることになったのか?」がテーマだと思う。パッケージの小松菜奈と鶴瓶師匠の二人は、とあることをきっかけに精神病棟に送られることになるのだが、特に精神が不安定とかそういうわけではなくただ、心の治療に時間が必要でその時をここで過ごしているという感じ。だけどこの二人が強烈にキツイ。

 

精神の殺人、肉体の殺人

 小松菜奈演じる由紀義父からの性的暴力の被害に遭っていたが、母親はそれを知りながら由紀に嫉妬し二人を引き離すため由紀を精神病棟に送り込んだ。

 

 笑福亭鶴瓶演じる秀丸実の母と妻と間男を殺した罪で死刑となったが死刑が失敗し、扱いに困った結果精神病棟に送り込まれた。

 

 若いながらも親に愛されず、捨て子同様に送り込まれた由紀を案じる秀丸と綾野剛演じる塚本は、物静かな由紀が少しずつ心を開いていくのを暖かく見守っていた。

 しかし、重宗という乱暴者が精神病棟の中で暴れまわり秀丸につっかかり、由紀を傷つけてしまう・・・・。

 

私に家族はいません
秀丸さんは私の代わりにそこに座っています。

 

 由紀は秀丸の陶芸小屋で襲われた後、行方をくらましてしまう。しかし、由紀が襲われたことを記録したビデオがあり、秀丸と塚本は真実を知ってしまう。秀丸は理由を告げず重宗を刺し殺してしまい刑務所へとまだ戻っていってしまったのだった・・・・

 

 由紀は背も高く大人びた表情で"守るべき子供"という風貌ではない。そのせいか、母親からは同じ女として敵対され、重宗に乱暴されたあと夜の街を徘徊するときでさえ、「甘えるな!!」とスナックの女性にキレられる。

 

 男からも女からも傷つけられてきた由紀にとって、自分の生きる場所を守ってくれたのは、重宗を殺した秀丸だったのだ。

 

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原作↓

 秀丸は合計4人の命を奪ったんだけど、秀丸自身の魂は最初に殺され、由紀の魂も先に殺されてしまっている。閉鎖病棟という世間から隔離された世界で起きた悲しくて優しい事件が深く胸に刻まれます。