《内容》
思春期真っただ中、11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす若き父・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、親密な時間をともにする。
20年後、カラムと同じ年齢になったソフィ(セリア・ロールソン・ホール)は、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく……。
めちゃくちゃ好き。
父親の歴史を辿る、というのはなんとなくエルスールを思い出しました。
「エル・スール」の記事を読む。
個人的にはこのアメリカの明るい感じの方が好き。
もう会えないあなたへ
なんでも話していいんだよ
大きくなって
いろんなパーティや男の子やドラッグのこと
真面目な話だ
パパもやったしもしやるなら話してくれ
それでもいいよ
でも覚えておいて
そう言ったのに、話したい時、あなたはいない。
ねぇ、あの時、あなたの心の声が聞けたなら。
主人公は娘のソフィ。(なんだか名前からして父という人間を哲学するために生まれてきたようだな)
離れて暮らす父親は若くてお金がなくて、心配性で、愛が深い人。つまり、父親にしては頼りないってことなのだ。だからソフィは大人びている。不安定な父の側にいることは同情心じゃなくて恐れなのだ。
いつかいなくなってしまう、きっといなくなってしまう、そんな予感。きっと母親と別れたのも自分と会えないのも何か深い理由があるのだろう、そう気づいてしまう聡明なソフィは父親に対して子供のような態度は見せない。まるで姉のように気遣って振る舞うのだ。
最後の夜、ダンスが好きだといって踊りに行った父親。恥ずかしくてその手を振り解いたソフィは、大人になりあの頃の父親に追いつき、彼と踊る。
大切な人を突然亡くしてしまった人にはキツイ映画なんじゃないかな、と思う。あまりに美しくて切なくて優しい映像は儚いの一言。