
≪内容≫
ナオミ・ワッツ、ロビン・ライト主演による禁断の愛の物語。双子のように育った親友同士の母親が、ある夏の日、互いの10代の息子と恋に落ちる。欲望と幸福感に溺れる中で、次第に崩壊していく家族の姿を描く。
ノーベル賞作家が・・・!とか書かれていると見ちゃいますねー。
なんか、欲望と幸福感に溺れる中で、次第に崩壊していく家族の姿を描く。と書かれてるけど、最初っから家族崩壊してない?って感じなので、ちょっとよく分からない。
原作はこちら↓
英題は「Two mothers」。邦題は「美しい絵の崩壊」。
こういう発想どこからくるんだろう?何ひとつかぶってないし。
だけど、この「美しい絵の崩壊」ってタイトルに惹かれたんですよね。
こういう邦題でガラっと変えてくるの、大好きです。
禁断の愛とはなに?
小さいときからずーーーーっと一緒だったリル(左)とロズ(右)は結婚して子供を産んでもずっと近くにいました。しかしリルの夫は死に、ロズは夫と離婚。二人の関係は男を除き、息子を携えただけでほとんど昔と同じ関係になります。
二人は今でも腕を組んで浜辺を歩き、お互いの家に躊躇なく入り、それぞれの息子と4人で食事をする。二人は「有り得ない!」と言いますが、結構このレズ疑惑が浮上する。
なぜこのレズ疑惑がこんなに出る必要があるんだろう?と思ってみていたんですが、私の考えだと、無意識で二人は愛し合っている。
つまり、息子は愛し合う為の媒体なんだという結論に至りました。
どうして相手の息子に求められて断れないのかっていうと、そこに絶対に手に入らない愛すべき親友の面影があるからではないか・・・と。
それぞれの血を分けた分身である息子たち。
息子たちと繋がるということが禁断なのではなくて、息子たちを通して女たちが愛し合うのが禁断の意味なんだと思います。
しかも無意識下で行われているところがミソ。
それぞれが同じタイミングで二人とも男児を産んだことも、そこに強烈な二人の繋がりを感じます。
だって、夫がいなくても、息子がいなくても生きていけるけど、親友がいなきゃ生きていけないんだもの。
息子たちはそんな二人の母親の思惑など知らないし(本人たちも知らないけえど)無垢なまま母の親友を愛してしまう。
まず事の発端は、このリルの息子イアンがロズにチューしちゃったとこから始まります。イアンはずっとロズのことが好きでした。だから行動に移したんです。好きだから。
しかしその行為を見ちゃったロズの息子トムは「じゃあ俺もやってやんよ!」的な気持ちでリルに関係を迫ります。
それを知ったロズは「こりゃーやばいぞ」と思い、リルに「一回でやめましょう」と相談。一旦は元の関係に戻ろうとします。
しかしイアンからしたら、自分は好きだから行動に移したのに、それに便乗したトムに台無しにされたと感じたと思います。
イアンの意見は黙殺されそれぞれ辞めましょうね、とはなったものの、一度解放された心は簡単には静まりません。なんだかんだ続いて行きます。
しかし!ここでまたトムが浮気を起こし、そのことで傷付いたリルを慰めながら「潮時なのよ・・・」と言ってロズは再び4人の恋愛関係を解消することを命令します。
イアンからしたら巻き添えです。
しかし、ロズは「おばあちゃんになりたいの、結婚してよ二人とも」と残酷な言葉を吐きます。
傷付いたイアンは「あなたを許さない」と言い、ハナという彼女を作ります。イアンはハナと夜をともにした(たぶん)その足でロズの家に向かい、中に入れてと懇願します。
そして、イアンもトムも結婚し孫が生まれる。何の因果か二人は恐らく同い年の同じ女の子同士。
二つの家族は、まだ仲良しでした。
トムの嫁とイアンの嫁も仲良しでした。
なので、この夜は子供を寝かしつけ4人と二人の新妻たちで楽しい食事会だったのです。しかし、リルは疲れたといって帰ってしまう。
暫くリル抜きの5人で話していると、ロズがトムが飲み過ぎているからホテルまでイアンが送るようにと命令します。
そこで、トムは「じゃあ酔い覚ましに散歩してくるわー」と行ってフラっと出ていく。
こっそりついていったイアンは、そこで抱き合うリルとトムを見て、逆ギレします。
↑このシーンほんとすき。
奴を殺してやる!
2人に騙されたな
疑いもしなかったのか?
何てバカなんだ
あなたはムリに終わらせた
だけどトムはずっと結婚後も別れたフリして関係を続けていた
セックスしながらあざ笑ってた
知らなかったと?
(ここでイアンの大声のせいで、聞こえてた妻たち登場)
ロズ:声が・・・
イアン:聞こえても構わない!(怒)
そもそもイアンは、妻のハナと付き合っているときにトムに「不毛だ、もう別れようと思っている」と言っています。しかし、その直後ハナから妊娠を告げられ結婚しました。
「なぜ続けちゃいけない?」と哀しげに問うイアンよりも、夫を失いトムを失い一人になってしまうリルの方が大事なんです。
もっというと、トムに「飲み過ぎよ」と声をかけたのは「そう声をかければ、あわよくば散歩などと理由をつけてリルのところに向かうのではないか」という思惑が無意識にあったのではないかと思う。
それでもし二人がヤっちゃってそれでイアンが傷付いても、リルが喜ぶ事の方が大事なんです。
つまり、ロズはイアンを通してリルしか愛していない。リルを通してイアンを愛してる。
このイアン役のゼイヴィア・サミュエルさんは、声がステキでびっくりします。
「あなたはムリに終わらせた」のところでは、声が震えたり「聞こえても構わない!!」では怒鳴ってるんですけどめっちゃかっこいい。
このシーン10回は観た 。
↑見て!この嬉しそうなイアンを!!
ではなぜイアンがこんなにもロズを好きなのかというと、ロズがリルを好きだからだと思います。父が亡くなり、いつもリルとくっついていたイアンにとって一番身近な女性がロズでした。
しかも、ロズはとても愛情深い人でした。周りを見ても、ロズ以上に愛情深い人はいませんでした。
でもそれは当たり前のこと。
ロズのリルへの愛情はとっくに友情を超えて特別すぎるものなのだから。
だけど、小さなときからそれが当たり前だったイアンもリルもそれが特別だとは思わない。そういう愛を持っているのがロズなのだと、彼女が特別なのだと思いこむ。
自分の母に向けているような優しくて温かいどこか特別な愛情を自分も欲しいと思うのは自然なことのように思います。
つまり、イアンがロズを好きになったのはリルがいるからなんですね。だからこそイアンは混乱していきます、「なぜロズは自分を拒絶するのか」って。
ロズは無意識だと思いますが、もっともなことを言ってイアンから逃げているだけです。本当に一番大事なのがリルだから逃げるしかないんですね。
という私のひねくれた解釈でした。
なんか、イアンのこと本気で好きっていう風に見えなかったんですよね。
外の世界に出てみても、あまりに特殊な愛を見て育ったから結局戻ってきてしまう。
これ女性は楽しい気がしますが、男性楽しめるのかなー?とひそかに疑問に思います。イアンには幸せになってもらいたいです。
美しい絵が指しているのは、イアンだと私は思います。
だって本当に壊れていくのはイアンだけで、真面目ぶってるロズと流され屋なリルは最初っから壊れているから。そう考えると"美しい絵"としての、イケメンすぎるイアンに納得。トムは色んな意味で平凡なので論外。