深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】ジェーン・ドウの解剖~死んでるのに生きてる死体、生きてるのに死なない死体~

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≪内容≫

ベテラン検死官トミーは、同じく検死官の息子オースティンと遺体安置所を営んでいる。ある嵐の夜、警察から緊急の依頼が入る。それは、謎の惨殺事件の現場から全裸で見つかった身元不明の美女“ジェーン・ドウ"の死体の検死解剖だった。通常の検死だと思われたが、メスを入れ解剖を進めるにつれ、体内が焼かれ切断されているなど、異常な状態が判明。やがてあり得ない物の数々が体内で見つかり、起こり得ない現象が次々と発生、衝撃と戦慄が走る。外は暴風雨、通信も途絶えていた。隔絶され、閉ざされた空間で、逃げ場のない恐怖が始まる…。

  

おい!これバリバリのホラーやんけ!

ただのサスペンスだと思って観はじめたのに怖いじゃねえか!ばっかヤロウ!!!

 

これは結構怖かった。ていうか最近怖いのによく当たるのか、自分が怖がりになってきたのか、怖いの多いな。ホラーの何が怖いって未解決で終わるのが一番怖いんだよな。

 

※注※画がかなりグロイです。要注意!

 

呪いは時代を超える

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 さて、身元不明の遺体が発見された現場では一家が惨殺されていた。この死体の説明をつけるため早急に解剖を依頼されたトミー息子オースティン

 

 死体は柔らかく、外傷もない。

 それなのに骨は砕け、膣の中は傷付き、舌は切り取られていた

 奇妙な死体を前に首を傾げる二人だが、売春の被害者と仮定して検死を進めていた。

 しかしとっくに死んでいる筈なのに、メスはすんなりと肌を裂き、そこからは勢いよく血が流れ出てくる。

 明らかに奇妙だが、「たまにはあることだ」と無理やり納得して次へ進んでいく。

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 開いてみると、肺は黒焦げになっていて心臓には切られたような傷があった。胃の中には花が消化されずに残っており、息子オースティンは不吉な予感を感じ始めた。そしてこう言う「明日の朝にしない?」と。

ナイス提案である。

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 しかし親父は明日の期限までに終わらせなければならないし、何より

「一度始めたら やり遂げる」と言いきる。

このセリフ、結末が分かったあとだと相当残酷な言葉に変わる。

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 胃の中からは再び奇妙な布と、それにくるまれたジェーン・ドウの歯が出てくる。

私、やっとここで「あれ・・・これもしかしてカルトホラーじゃね??」と気付く。気付いた瞬間あら不思議。色んな伏線にも気付く。

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 親子二人は今までの検死結果からこの死体が何を意味するのか考え始める。

  • 外傷なし
  • 死後硬直なし
  • 両足の骨は砕けている
  • 舌は切り取られている
  • 血が出る
  • 肺は黒こげ、膣の中と臓器には無数の切り傷
  • 胃の中には麻酔に使われる花と奇妙な布とその中に綺麗な臼歯

・・・まるで生贄だな。

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 さて、なぜか親父は皮膚をひんむいた先に何かがあるとひらめく。

そして皮を剥ぐと、そこには肌に直接刻まれたあの紋章があったのだ・・・!

 

突然のネタバレですが、ここで息子の「逃げよう」という忠告に耳を貸し解剖を中断していれば悲劇は免れられたと思うのです。

 このシーンの親父はもはや解剖に魅入られた悪魔のように無心でジェーン・ドウの皮を剥いでます。

 真実を解き明かしたい好奇心で、どれだけの人が死んだかそれがここのシーンに描かれていると思います。

 

 親父、やっと危機的状況に気付く。

 そこで助けを求めるも電話は繋がらない・・・。でーすーよーねー!!!!

 見えない敵に攻撃されたり、解剖済みの死体が襲ってきたりして、二人はとりあえず・・・元凶を焼くことにした。しかし彼女は無傷。ついに二人は彼女の脳細胞を見ることに。すると、彼女は生きているということが判明。二人はその秘密に迫るため、さきほどの奇妙な布を改めて解読することにした。

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霊媒や口寄せをする男や女がいたら必ず殺さねばならない 

 

  二人はこの奇妙な死体が魔女であると気付いた。息子は儀式に失敗したと言うが、親父の意見はこうである。もしくは、儀式によって魔女を滅ぼそうとして・・・

ここで親父は気付く。(2回目)

 我々は解剖をした。折れた足を無茶苦茶に触り、肌にメスを入れ、肋骨を折って中の臓器を調べた。心臓は取り上げ、胃の中にはピンセットを挿入した。そして、最後には彼女に灯油をかけて火をつけた

 

 今までの二人がしてきたこと、それって魔女狩りの光景と一緒なのでは・・・と。

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 火をかけても死なない。生きているのに死なない。では、なぜ彼女は存在しているのか?親父はこれは彼女の復讐であり、今は彼女自身が儀式を行っていると言う。自分に触れたものに自分と同じ痛みを与えるのだと。

 

 親父の腹部にはあの紋章が・・・。自分と同じ痛み・・・つまりさっきまで死体と思いこんで解剖してきたことも、それ以前に彼女が受けた拷問も親父に襲いかかることになります。

 

 解決策としては、彼女に出会わないか、出会っても触れないか、触れたら彼女を殺すしかないですね。相手が痛みを受けるのは、彼女が受けた痛みだから、彼女が相手を苦しめる為には自分も生きていなければならない。

  小さい時はこういう救いようのない貰い事故的なホラーがトラウマだったんですが、大人になると謎の諦めが生まれました。事故に遭う時は遭う。しょうがないんだ。みたいに。とはいえ、呪いの容が死体に含まれている、というのは強烈に怖いし、知らずに自分たちが拷問まがいのことを彼女にしていたんだ、というのは、現実でもありそうでそういう意味でもゾッとしました・・・・。