深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】トライアングル~死神をだましてこの世に居座る代価が怖すぎる~

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≪内容≫

 生き残った彼女が見たものは、逃げ惑うもう一人の自分だった・・・
友人に誘われ、ヨットセーリングに行くジェス。
しかし、沖に出た途端、嵐に襲われヨットもろとも大海原へ投げ出されてしまう…。
命からがら助かった5人の前に、突然豪華客船が現れる。
救助を求めて乗り込み船内を調べてみると、たった今まで人がいた形跡はあるものの、なぜかその姿は全く見えなかった。
手分けして船内を探索していると、突然、覆面をした謎の人物が現れ、抵抗する間もなく一人、また一人と命を奪われていく…。
わけの分からぬまま逃げ惑うジェス。
ただ一人生き残り、船内からやっと甲板へと逃げ出した彼女がそこで見たものは、転覆したヨットから再びこの客船に向かって助けを求める自分たちの姿だった。

今、体験したことは夢なのか?それとも現実なのか?そして彼女はこのループする船から無事に脱出できるのか!?

 

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 突然ですが、人を殺す夢って見たことありますか?

 私は誰かに追われたり、傷付けられたりする夢は見ても、なぜか自分が相手を殺す夢は見たことがないんです。

 そして、夢は顕在意識化で殺人を想像することとは比べモノにならないくらいリアルです。だから、私は夢の中でも人を殺すことはすごく難しいことのように思うのです。

 

永遠に繰り返す罰

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 この映画、ただのホラー映画だと思ってて、幽霊客船モノかと思っていたんですが、神話とかメタファーとかおいしいものだらけで、好きな人は超楽しめると思います。

 多くの人がレヴューで書いてるように、ネタバレしないで見た方がより楽しめる作品だと思います。

 ただ、私はネタバレを見てもう一回観たけどそれでも分からない部分はあるし、楽しめました。

 

 ここから先は、ネタバレしていきます!

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 主人公のジェス自閉症の息子を一人で育てるシングルマザー

 今日は、息子を学校に預けて、職場のレストランに客としてきたグレッグの誘いでヨットハーバーにやってきた。

 しかし、ヨットは突然の悪天候により沈没。丁度付近を漂っていた連絡船に避難したが、ジェスはこの船をなぜか知っていた。

 

 船は無人で、乗りこんだ5人は何者かによって銃殺されていく。

 覆面をかぶり、銃をもっていた何者かを海に突き落としたジェス。これで終わったかと思いきや、数分前の自分たちが壊れたヨットの上で助けを求めている姿を発見する。

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 ここでさっき殺されたはずの仲間が数分前の状態でいることが分かる。しかもこの船を見ているのはジェスで、船の上にもう一人のジェスがいる。つまり、ジェスは死んでいないのに、もう一度やり直しが行われているのだ。

 乗ってきた2ターン目の仲間たちに、今起こっていることを伝えたいジェスだが、自らも混乱しているため全くもって相手にされない。

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 この船に乗ると殺されてしまい、そうすると、また新たな自分たちが乗りこんでまた殺されてしまうことに気付いたジェスは、とにかくこの船から生きたまま4人を下ろそうとするが、それは自分によって阻止されてしまうのだった。

 

 「全員死ぬと戻ってくる」

 と、ジェスは呟くが、その全員の中に自分は入っていない。ジェスはジェスを殺せないのだ。自分だから。つい、自分には甘くなってしまうジェス。だからこそ、このループは終わらなかった。最後に抜け出せたのは、自分で自分だと理解している自分を海に突き落としたからだ。

 

 さて、ではなぜ自分を殺すことで船のループから抜け出せたのか

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 それは、ジェスの目的が自分で自分を殺すことだったからだ。

 そもそもループする意味は、「やり直し」という意味だと私は受け取っていて、それは自分以外の4人を殺してもループの目的を果たしていないことを意味している。

  ジェスのことを訝しがるカップルと、変な女と言ったヴィクター、そしてジェスを良い母親だというグレッグ、こういった"世間"を殺したところで、何も変わらない。

 

 死んだ息子は何しても生き返らないのだから。

 例え、ジェスが苦行を重ねようと、事故の原因になった事故前の自分を殺しても、どんなことをしても息子は死んでしまった。

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 さて、この映画しつこいくらい形を変えて「AEOLUS」が出てくる。

シーシュポス - Wikipedia

  こちらの神話が土台になっている模様。

 wikiさんで見た情報によると、今回のループ=「シーシュポスの岩」とも読める。

 

突然の悪天候により沈没→ジェスの潜在意識に搭乗者全員が迷い込む。

連絡船「AEOLUS」→シーシュポスは父親アイオロスから生まれた。すなわち、最終的な原因。

船の中で起きるループ→死そのものであるジェス(タナトス)が乗り込んだために、そこにいる人間は皆死ねなくなった。

運転手の車に乗る→死んだのにこの世に居座るという選択をした。(ここでシーシュポス=ジェスとなり、苦行=無限ループの世界に行く。)

 

ラストの運転手は地獄への案内人?

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 話の通りいくと死神なんですが、死神って問答無用で死の世界へ連れて行くイメージなんですが、この運転手はジェスに選ばせます。

 

 が、たぶん死神なんでしょうね。

 だって、普通の人間だったらヨットハーバーに行く人間を待ってないはずだし、そもそも死んだはずのジェスが見えてるわけがない。

トライアングル(字幕版)

トライアングル(字幕版)

 

  じゃああの船の搭乗者たちは全員なんだったんだろう?と思うのです。ジェスの記憶を覗いて、死神が作ったボーナスステージだったのだろうか?まあそう考えると、ヘザーという女性だけが海に投げ出されたときに消えたことも説明がつく。ヘザーはジェスの潜在意識にはいないキャラクターだったから、あの瞬間12時に魔法が解けるみたいに消えたのかもしれない。

 

 一番ドキっとしたのがタクシーの使い方で、こういう考えかたに触れると、1Q84の冒頭のタクシーは、もしかしてこういうループ空間への入口だったのか・・・?と思ってワクワクしてきた。

1Q84 BOOK1-3 文庫 全6巻 完結セット (新潮文庫)

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  あれ、最後も車に乗るし。ということはジェスは死神の待つ車に再度乗ることで本当にエンドになるのかな?